Fuji Rock Festival '99
 昨年のプロディジーが終わった時から、今年に賭ける意気込みは始まっていた。 あの時の充実感と爽快感、言葉にできない感動は今もなお、私の脳裏に焼き付いて いる。あの2日間は今までに生きてきた私の価値観を簡単に覆されるほどに強烈な ものであり、それは確実に今までには経験したことのない不思議な感覚だった。

 あれから、はや一年。その間、幸運にも私はフジロックを通じていろんな友に出 会うことができ、あの感動を何度も共感し合った。その時から今年に賭ける思いも それぞれに持っていて、一つの夢を追いかける同志のようにみんなの目は輝き、話 のネタが尽きることはなかった。それは正月には大将を囲むものにまで発展し、来 年に対する期待もさらに大きくなっていった。私は昨年が初参加であり、一昨年に あった凄まじい状況を実際には経験してはいない。だから昨年は本当の意味で「ロ ックフェス」には十分な条件ではなかった。なぜならそこにはいろんな可能性を持 つ、「雄大な自然」が存在しなかったからだ。昨年あれだけ自分の中では人生の中 でも「重大ニュース」に入るべき事件だったにもかかわらず、未だその本性を知っ ていない気がする。感動したのは事実。けれど、その先にまだ何かが待っていて、 それは底知れない力を秘めているようでならない。確かに昨年のフジロックは成功 した。しかし本当の意味での成功は今年検証されることになる。成功したといわれ る昨年をどれだけ越えられるか。フェスとしての本質を踏まえた上で、自他共に認 められる「ロックフェス」を確立させて欲しい。「ロックフェス」がここ日本でこ の先本当に存在していけるかという事を案じるのが、見る側も含めての今年の動向 にかかっていると思うからだ。

 いよいよ待ちに待ったフジロックまであと一ヶ月を切った。あれだけ待ちこがれて いたものが目前にくると逆に実感がないもので、本当に行けるんだなぁ・・と少し 気後れしてしまう。今年はどんな驚きと興奮が待っているのか。きっとまた今まで の自分をひっくり返されるようなカルチャーショックを与えられるだろう。

 ふと、考えてみる。フジロックに向かう深夜のバスの中。きっと期待と興奮で簡 単には眠れないはずだ。出演アーティストの音を耳にしながら、明日からの夢のよ うな3日間を想像する。そうしているうちにうつろうつろと浅い眠りにつくだろう 。朝が来る。苗場の地を踏みしめ、”あぁ、とうとうフジロックに来てしまった・ ・”という第一の感動。その時、ちょっと肌寒いことも手伝ってかすかな感動によ る鳥肌を覚える。慣れないテント張りに苦闘していると、周りの人達が手伝ってく れる。そこではやくも仲間作り。フジに来た者は皆兄弟も同じなのだから、助け合 い精神は必携。それぞれのステージに足を運び、まず会場の雰囲気を感じる。その 行き来する道では混雑が予想されるが、不便さこそ今年の味だ。全てのアーティス トを観たいが、時間に縛られながら観るのはよそう・・と思う予定。(?!)一日 くたくたになりながらも、夜中までダンステントで楽しむ。一日目だからまだ体力 はあると思われる。ざっと序盤の光景を思い浮かべただけでも、胸の高鳴りは抑え られない。そしてテントで迎える朝。思いっきり眩しく、しつこいぐらいエネルギ ーを持った太陽に「今日もしごくぞ」と言わんばかりの日差しを浴びせられる。し かし、こちらとしても望むところだ。普段、東京の片隅で日光から除外されながら 生きている身としては、一年分ぐらいの太陽熱をもらってやる覚悟でいる。

 そして全てが終わった時、やっぱり去年のように笑いながら来年のことを考えて いるのだろうか。それとも、今年の満腹感で来年のことなんて考えられない状況な のだろうか。もしかしたら、いまひとつ感動できてないかもしれない。とにかく、 私にはどういう形であれその3日間が確実に刻み込まれることは確かだ。それがと てつもない喜びであろうと、たとえ何らかの悔しさが残っているものだとしても、 それまでの私にはない何かを与えてくれるという、自信がある。というのはきっと そうさせるものを私自身の手でつかみ取る気でいるからだ。しかしながら強気な事 を言う反面、やはりどこかに祈る気持ちはあるのも事実・・。たのむぞ、99年フ ジロック。

Reported by kaori shimoda


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