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「NRBQが来る!」 2月に聞いたこの知らせは、今年最初のビッグニュースだった。デビューから既に30年。発売したアルバムは20枚以上を数える。なのに今なおカルトなバンド。「何それ。」「DMBQなら知ってる。」や、やかましいっ 。そんな市井の声など目もくれず、私は来るべきその日を指折り数えて待ったのだった。個人的には3年前の初来日を泣く泣く見送っただけに、本当に待ち遠しかった。 スターパインズ・カフェは地下倉庫を改造したような穴蔵風のお店。キャパは200人ぐらいだろうか。こじんまりとしていて、バーカウンターもあって、NRBQを見るためにあるような所だ。数は誇れないけど思い入れは人一倍という熱心なファンで超満員になったのは嬉しかった。開演前から手拍子と共に「N、R、B、Q」の掛け声に湧く。相応しい場所と相応しい客が揃ったところで、主役 の4人がぞろぞろと現れる。わあ〜〜、本物のNRBQだ〜。 噂に聞いた通りブギウギからラグタイムから、変幻自在に鍵盤をぶっ叩くキーボードのテリー・アダムス。テリーと同じく結成以来のメンバーで、キース・リチャーズがビル・ワイマンの後釜に欲しがったほどのベーシストにして、とろけるような甘い声のメインヴォーカリスト、ジョーイ・スパンピナート。文字通り大看板だったギタリスト、アル・アンダーソンの抜けた穴を見事に埋めた、ジョーイの実弟ジョニー・スパンピナート。その巨漢には似つかわしくなく繊細で、でもここぞという時にスネアが炸裂するドラマー、トム・アルドリーノ。 個性溢れるこの4人がひとかたまりになって、繰り出す音、音、音。基本的には「アイ・ラヴ・ユー、ユー・ラヴ・ミー」のシンプルなロックンロールでありながら、深〜い知識と深〜い愛情に裏付けられているので一筋縄ではいかない。さらにアメリカンらしい底抜けの陽気さとユーモアセンスが、楽しさに拍車をかける。こういう部分だけは、日本のミュージシャンは逆立ちしたって真似できない。私は終始体は動き放しで顔は緩み放し。最後には頬の筋肉が痛くなってしまった程(いや、本当)。 夢のような時間はあっと言う間に過ぎるもので、2度のアンコールが終わり客電が点いても、我々は彼らに敬意を表しつつ再度の登場を願うのだった。そしてついには苦笑いしながら、でも嬉しそうに出てきた面々。この感動はまさに筆舌に尽くしがたい。世間の流行とは今後も無縁だろうけど、いつ、誰が聴いても楽しめる、極上のショウを堪能した。「世界一のバー・バンド」と彼らを絶賛したエルヴィス・コステロには全く同意する。 最後に、今回の日本公演は熱心なファンの草の根的な努力によって実現したものであることと、入場者全員に無料配付されたパンフレットも、そんな背景を反映して愛情のこもった素晴らしいものであったことを特筆しておこう。NRBQとそのファンに感謝 !! Reported by 棚橋 憲治 無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to 棚橋 憲治. They may not be reproduced in any form whatsoever. To The Top. |