|
3/28(日)午後7時。私は今恵比寿ガーデンホールを目の前にしている。
3ヶ月以上も遅刻してきたIan Brownのステージを楽しみにしてきたファン
はかなりの数になるはずだ。 思えば彼と対面したのはStone Roses二度目の来日となったとき、川崎の チッタでの事だった。Stone Rosesのいちファンとしてやや出遅れた感の あった私としては、何がなんでもこの公演を見逃すまいと、公演日の延期にもじっと耐え、ひたすら彼らの登場を待った。ステージから発する青い光が狭い場内を覆い、 「I wanna beadored」とともに幕が開けた瞬間鳥肌が立ったことは今でも鮮明に記憶している。 あれから何年経ったのだろうか。インターネットや音楽雑誌でIanのソロ活動情報 が流れたときには既にまたの再会を予感させたが、あいにく訳あってFuji Rockへ 行けなかったこともあり、待つことかなりの年月を費やしたような気さえする。 正確には昨年末にライブを楽しめるはずだったのだが待たせやがってこの野郎! みなさんご存知の通り投獄生活を余儀なくされたわけである。この二度の来日延期。 個人的には因縁めいたものを感じずにはいられないのだが、今日は『本日延期』の ボードも無く、無事に入場が開始されている。くどいようだが待たせやがってこの野 郎!と叫びたい心境である。 でもそんなことどうでもいいのだ。今日はこうしてステージが拝めるのである。 前科者となったUK猿王(失礼)の、新生ライブを存分に楽しもうではないか! 前座が散っていよいよの登場となった。例の何食わぬ井出達(というのか振りというのか)とヘタウマ的なヴォイスで現われ、鳥肌は経たぬまま、ステージはもちろんデビューアルバム構成で進んで行く。この日のために用意したのか、あるいは寸前に頭に叩き込んだのか、『ウレシイデスカー!?』などという妙な叫びで何度も観衆に呼びかけるIanに我々は同じように返事ともとれない絶叫で礼を言う。ウォー! ガー! この際なんでもいいのだ。 投獄中に作ったと言う新曲を披露しつつ、ラストは看板曲でもあるMy Starで 締めくくられた。このMy Star、出だしと終盤にBeatlesの曲を絡めている。曲名は思い出せないが、確か通称ホワイトアルバムに収録されていた曲だ。ひとひねりあるところもライブの味わい。 しかししかし会場を埋め尽くした我等が期待するところは明らかに他にもあったの だ。来るぞ来るぞ、来やがれチクショー!と叫んだかどうかは分からないが、ついにその時はアンコールのファイナルにやってきた。Ianとギタリストがぽつりとステージに残り、まさにその弦がはじき出したのだ!あまりの興奮に聴き覚えは確かにハッキリとあるのだが、とにかくなんだかわけが分からぬまま場内は興奮状態に陥っている。『Sally Cinnamon』であった。ギター一本で声を発するその光景は、確かにかつてディスクで聴いたような音源とはかけ離れているし、ギターもどこかぎこちない。 しかししかしそこには全く別の音源、そう、場内大合唱という最高のバックアップが あった。とにかく興奮のあまり絶叫してる奴もいるが、お決まりのフレーズでは全員が声を上げ、手を挙げていた。途中涙が溢れてきた。周りには私と同じように涙をぬぐっている者がやたらと目につく。あぁ、みんな待っていたんだな。待たせやがってこの野郎! 我々は鳥肌どころではないお土産を、しっかりと頭に叩き込んだ。 Reported by 富樫 勇 無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to Isamu Togashi. They may not be reproduced in any form whatsoever. To The Top. |