ハイドパーク・ミュージック・フェスティヴァル @ 稲荷山公園 (9th & 10th Sept. '06)
「体験する」コンサートはいかが?
広い公園の、正面入り口を入り、なだらかな斜面のそこに設置されたステージは、ささやかすぎるほどこぶりなものだ。
もう少し大きなステージでもいいのにな、と最初は思うのだが、ライヴが始まるとこれが意外と手ごろで全体像が把握できて、楽しいものになる。そして思い出す。ハイドパーク・ミュージック・フェスティバルは大手のイベンターや資本、広告会社が入っているのではなく、この狭山の地元の人々が運営するフェスティバルなのだ、ということを。いつもは自転車屋さんや電気屋さん、歯医者さんといった人たちが、ここまで大規模なコンサートを運営していること自体、奇跡的なことなのだったりする。そして、日々まっとうにすごす自分たちの家業の積み重ねが生み出す先にこのコンサートがある。その手作りであるところがこの全景に残されているのだった。
伝説的な大雨、そして晴れて最後の細野晴臣のステージで幕を閉じた2005年に続いて、今年の開催は意外にも狭山色が薄いような気がする顔ぶれだ。
今年のトリをつとめるのは、ポーク・クルセダーズ。昨年の狭山のプログラムなどにハイドパーク・ミュージック・フェスティバルをもじってハイドポークなるピンクの豚が描かれているのだが、それを見つけて「じゃあ、ポーク・クルセダーズで」と加藤和彦さんがいったという。つまりは、実のところフォーク・クルセダーズの登場だ。数年前に新結成した新生フォーク・クルセダーズ、まさかの再度出現だ。
初日のトリをつとめるのは、伊藤銀次with Friends。伊藤銀次、シュガー・ベイブの村松邦男、杉真理というとりあわせは、おのずと狭山からのびている国道16号線の先にある福生のことを思い出させる。そして、そのバッキングをつとめるのが、ハックルバックの林敏明、はちみつぱいの和田博己、ラストショウの徳武弘文と、実に70年代当時、狭山のハウスに住んでいたミュージシャンなのだ。という、実に表向きにはわからないけれど、実際に会場にきてみれば「え?」という楽しみのあるのが、ハイドパークではないか。
同じ9日の楽しみといえば、オレンジ・カウンティ・ブラザーズの復活だろう。70年代早すぎた日本のテックス・メックス・サウンド。野外の昼間にご機嫌なサウンド。そして、昨年は西岡恭蔵トリビュートで登場して、その後話題になったハンバート・ハンバートは今年、どうどうのバンドでの出演になる。
ハンズ・オブ・クリエイションは昨年の細野セットで活躍した高田漣の新しいバンドだし、あがた森魚のセットには、矢野誠、渡辺勝、武川雅寛というはちみつぱい当時の懐かしい顔がそろう。
高田渡トリビュートのバンドは高田渡のバックをつとめていたメンバーで、フロントには若いボーカリストでの「渡ソングを歌い継ぐ」という思いでのステージとなる。実はbonobosのサイ・チュンホと辻凡人が参加してくれる。そしてやはり渡トリビュートには去年出演したラリーパパ&カーネギーママのチョウ・ヒョンレがやってくる。実は、辻凡人はラリーパパ&カーネギーママのドラムでもあったし、そもそも、ラリーパパ&カーネギーママの始まりにはサイ・チュンホもともにやっていた、という経緯がある。
渡トリビュートには若い世代にぜひ聞いてほしいシバがやってくる。独特の日本のブルース。こういう音楽が日本にもあったのだ、ということを伝えたい。
10日にはエンケン・バンドで湯川トーベンが演奏するけれども、早い時間には湯川潮音の歌声も楽しむことができる。
昨年、おしくも出演できなかった東京ローカルホンクは70年代なグルーブを伝える若手バンドなので、狭山の2日目のオープニングとして、なかなかのバンドだし、初登場の中村まりは風評としてこれから楽しみな歌い手だという。
飲みながら、ねっころがりながら、オヤジロックな楽しみなのは狭山バンドに違いない。狭山在住、住んでいた、というメンバーの当時やっていた楽曲というのがどうやらメインらしい。
そして、この狭山という場所でどう聞かせてくれるのか楽しみなのは関西ブルース勢。これはステージが始まるまで何がおこるかわからない。長いつきあい、互いの呼吸を知っているからこその、音楽での会話が繰り広げられるのだ。
と、ざっと紹介をしたのだけれど、結局のところ、実に、ハイドパーク・ミュージック・フェスティバルは、ただ顔ぶれを見てるだけでは予測のつかない、ここならではの顔合わせ、突然のゲスト、というものがある。だからこそ、
「まず、この場所を楽しんでください」
おいしい食べ物もある。おいしい音楽がある。自由に心地よい空間で。こんなイベントがあってもいいじゃないか。
そして、何がおこるのか。
目撃者となって身をもって体験してください。ハイドパーク・ミュージック・フェスティバルは「体験する」コンサートなのです。
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report by 川村恭子 and photos by hanasan, nachi & saya38
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