フランツ・フェルディナンド @ 日本武道館 (10th Feb '06)
フロアを燃やせ!
会場に到着すると、見渡す限りの人、人、人! スタンド席上部まで満杯に埋まっているのを目の当たりにして、日本でのフランツ・フェルディナンド人気をあらためて思い知らされた。前座のザ・マジック・ナンバーズは、ほんわかとした素晴らしい演奏で、彼らを知らなかっただろう客層まで大いに魅了していた。彼らがステージを去ると、着々と準備され始めたのが大掛かりな舞台装置。それを見ていると、ライヴへの期待は高まるばかりだ。
明かりが落ちると、期待で膨らんだ場内は騒然となり、ライトが点滅する派手な演出のなか、メンバーが登場。"This Boy"のギターリフが始まると、待ってましたと言わんばかりの大歓声が鳴り響く。用意されていた幕がストーンと落ちると、その奥から巨大モニターとアルバムのジャケットをモチーフにした幕が目に入ってくる。幕開けにもかかわらず、盛り上がりの波が最高潮に達しているのがわかる。その盛り上がりは"Come on Home"へと雪崩れ込み、会場全体が揺れているような錯覚に陥るほど。会場の盛り上がりと比例するかのように、メンバーの演奏も大胆になっていった。ニックのキーボード・サウンドも前日のゼップ公演以上に冴え渡って、観客を煽りに煽っていたし、アレックスの動作、ひとつひとつからも目が離せない。身体がいくつあっても足りない、見逃したくないと、切実に思ってしまった。恒例となっているメンバー自身によるメンバー紹介も大いに沸いた。
一枚目のアルバム『フランツ・フェルディナンド』、そして、二枚目の『You Could Have It So Much Better』からもバランス良く組まれたセットだったので、デビュー当時から彼らのファンだった人でも、コマーシャルで使われている彼らの曲を聴いて好きになった人達でも大満足できる。そんな曲が連発されるなか、"Eleanor Put Your Boots On"では一転、今までの彼らの売りである踊れるロックとは一線を画す、アコースティック・ギターを抱えたアレックスが弾き語りをするというもの。彼らとは同郷のグラズゴウのバンド、ベル・アンド・セバスチャンを連想させるものだった。彼らのルーツはやはりイギリスのなかでもロンドンではなく、北の地、グラスゴーなのだと再認識してしまった。
会場の盛り上がりが少し落ち着いたところで、アレックスが突然、「質問があるんだ、訊いていいかな?」と急に観客に向かって問いかけていた。その質問というのが"Do you want to??"。思いがけない時に「歌」が飛び出してきたことに、驚かされ、そして、笑顔がこぼれてしまった。この問いかけへの観客の答えは、沸くに沸いた大合唱が充分に体現していたかも。この曲が"Take me out"を凌ぐ彼らの代表曲となったことは間違いない。バンド、観客のテンションは、この時再び最高潮に達し、あまりの熱気で武道館が蒸し風呂状態になっていた。となると、熱気が下がるっていくんだろうと思いきや、フランツ・フェルディナンドは、一時も観客を休ませることもなく、畳み掛けるかのように迫ってくるのだ。
アンコールを挟んで演奏された最後の曲、"This Fire"では、文字通り、ステージと客席が燃えていた。ここまでくると、盛り上がらなかった方が損と、我を忘れてひたすらその熱気に身を任せていたのが筆者。気が付いたら、会場に飲み込まれていた。踊り狂った後に残ったものといえば、顔に浮かぶ満面の笑み、それだけだった。正直、武道館のような大箱で見るフランツ・フェルディナンドってどうなのかなと思っていたけれど、蓋を開けてみれば、大盛り上がりで、素直に楽しめるものだった。それに、彼らの持つ潜在的なエネルギーとパワーに改めて気付かされた素晴らしいライブだった。体感しなきゃ分からないだろうけど、これだけは確実に断言できます。フランツ・フェルディナンドが最高に楽しい怪物級のバンドであるってことだけは。
- set list - (原文のまま)
This Boy / Come On Home / The Dark Of The Matinee / Auf Achse / What You Meant / Take Me Out / Darts Of Pleasure / The Fallen / Walk Away / Eleanor Put Your Boots On / Do You Want To / Van Tango / 40' / Michael
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Jacqueline / Evil And A Heathen / You Could Have It So Much Better / Outsiders / This Fire
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review by sumire and photos by izumikuma
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