岩見十夢 パウンチホイール
@ 渋谷屋根裏 (16th May '04)
今だからこそ必要なうた
気温がグッと下がり、小雨の降る渋谷。以前から友人大絶賛の初めて観る岩見十夢(いわみとむ)くん、リアリティーのある日本語が魅力のパウンチホイールが出演する"これみよがしの熱奏"というイベントを観に渋谷屋根裏に行ってきた。
その日の4バンド目、会場にお客さんが埋まってきたころに登場したのが十夢くん。少しカールがかった黒髪に、黒目がちな男の子、いや少年という感じ。アコギ、コンガ、ピアニカの少し変わった3人編成。♪君の唄が聴きたい 君の唄が聴きたい・・・・何度も繰り返されるこのフレーズ。彼の声は特に美声というわけではないけれど、しゃべるような歌声が耳に残る。高音になると少し音程が不安定気味になるのも不思議と心地良い。「今は僕の時間です...イェーイ!!(力ない感じで)」会場から笑い。なんだか不思議君オーラがでています。
ドラム・ギター・キーボードにモデルチェンジしてから歌ったのがラブソング、♪キスしよう甘いキスで寂しいこの夜をすべて溶かしてやるのさ〜、活字にするとなんだか赤面してしまいそうな歌詞だけど、舌足らずな感じで十夢君がうたうとかっわいいんだなぁ〜。彼の懐かしいけれど古臭くない、暖かく何十年後も聴きたい、普遍的なフォークソングという印象を受けた。
本日のトリはパウンチホイール。
「慶弔17年7月・・・小次郎は待ったしかし武蔵はまだこなかった・・・」
渋い声で巌流島の戦いを語るSEをバックにメンバー一人ひとりが登場。「勝負は一瞬にして決まった」ストーリーが終わった頃メンバーが揃い1曲目「イントロ」が始まる。
♪僕は若者が嫌いです 特に茶色い髪が嫌いです なぜそんなにも素敵なの?僕にはきっと似合わない 騒々しい街が嫌いですここには僕の居場所は見つからず〜。
優等生的な見た目とはウラハラにこの曲は自虐的でありながら、人が心の奥底に持っているであろう部分をリアルに歌っている。
3曲目、Bsssのソロから始まる少し寂しい感じのするバラードはBassの岸部君がメインVoの「5時半」という曲。♪さび付いていた自転車は恋人たちに盗まれた〜。透明感があり淡々と歌うがどこか優しさのあるBass、.岸部君の歌声とVo、青木君の味がありかつ厚みのある声とは対照的であるが、このツインボーカルがハモると絶妙なんだなぁ。さすが元合唱部!!この曲終了後のMC「ハーモニカ吹き忘れました、岸部君のあげあしとりにヤッキになってたら忘れました。寂しい曲がさらに寂しくなりました...」とVo.青木君。「ありえないだろ」と突っ込むBass岸部君。一同笑う。
そんなオチもありつつパウンチの曲では珍しくアップテンポの曲「224」。♪僕らはうそつきで欲張りで先がない。そう思っているのはたぶん僕だけなのだろうか〜。ギターをかき鳴らし、早口でありがならそれでも一つ一つの言葉を丁寧に唄うスタンスは変わらない。彼らの詩は共感すると同時に、イタイところをついてくる。
そしてラストの曲は死んでいった友達、戦場に近い笑顔を忘れた子、自殺しようとする若者、そして恋人、世界のすべての人に向けたメッセージソング。
♪あ〜唄が必要だ、必要だ、必要だ〜。
何度も繰り返されるこの言葉。ライブが終わった後も耳から離れない。平成育ちの彼らが歌う歌はなぜか鮮やかでないカラーテレビの時代。自分が産まれてんだか産まれてないんだかの時代を思い出す。きっとそれは今の人々が失いかけている力。その時代の人がまだ持っていた世間の矛盾に気づき、考え、立ち上がり、それを一人一人がなんとかしようとする力を持っていた時代である。彼らは今でもその力を引継ぎ、心の闇に気づかないフリをする現代人とは違い、それと真っ向から向き合っているからこそいつまでも私の頭の中で鳴り続けているのだろう。唄が直接世の中を変えることはむずかしいが、人々の心に眠っている古き時代の熱い思いを呼び覚ますことはできるのではないだろうか。私も唄が必要だと思う。
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