British Sea Power @ Shibuya Club Quattro (18th Dec. '03)
リメンバー・ユー
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British Sea Powerは、途方もないオリジナリティーに溢れているバンドだ。自分たちで手がけるCDジャケットのアートワークやプロモーション・ビデオと同様に、そのワン・アンド・オンリーな精神はライブにも発揮されていた。
イギリスはブライトン在住の4人組、それにサポートメンバーのエイモンを加えたBritish Sea Power。今年発売されたアルバム『THE DECLINE of BRITISH SEA POWER』は各音楽誌から高い評価を得ている。私もそんな噂を聞きつけて購入したのだけれど、そのアシッドフォークなサウンドから見え隠れする狂気とひねくれた英国特有のユーモアセンスには、一度はまると抜け出せなくなる魅力がある。だからこそこのライブには絶対足を運びたかったのだ。この目で観て、彼らの正体を確かめたかった。 |
まず特筆すべきは、そのステージセット。全体に木や落ち葉を飾り、観客に「一体ここはどこだろう?」と思わせる摩訶不思議な空間を演出する。さらには彼らの言うところの「伝統的な狩猟スタイル」でステージに登場・・・(しかし、どう見ても農夫のオッサンにしか見えない)、とここまでくると、さすがに疑いたくもなる。ただのコンセプト・バンドならいくらでもいるでしょ。
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しかし、オープニングの"men together today"、"Fear of Drowning"ときて"Apologies to Insect Life"で見せた「ヤバイ」としか言えないような憑依的パフォーマンス、張り詰めた緊張感は今までに体験したことない凄まじさ。とにかくテンションが異常に高い!というか、もう自分のテンションまで普通じゃないことに気がつく。しかもメンバー、常に真顔で怖いって。マイクスタンド投げるのも真顔。上着を思いっきり脱いでも真顔。真顔で"Remember Me"を歌われた日には、ある意味で絶対忘れられない。目を見開いて「オー・リメンバー・ミー!」「ヤー・リメンバー・ミー!」・・・って怖いよ、あんたら。 |
ライブは少しも熱気が冷めることなく進んでいく。中盤ではヤンがベースを弾き、ハミルトンがボーカルを取る曲も披露。ヤンの何かに取り付かれたような、ちょっと痙攣気味(?) のボーカルは嫌がおうにも「聴かなければいけない」ような強い個性を持ったものであるのに反して、弟のハミルトンの方はとても自然体で、「聞こえてくる」ようなボーカル。曲調と共に演奏も優しくなり、BSPの違う顔を見たような気
がする。 |
最後の"Rock In A"では、三角倒立したりアンプによじ登ったり逆ダイブしたり、体操みたいにぴょんぴょん跳んだり、何でもござれのカオス状態!!ドラムは崩壊していくし、いつの間にか2組肩車してるし、ギターなんてスタッフが代わりに弾いてる。ああ、見てる目が2つじゃ足りない。あっちでもこっちでも大変なことやってる。ライブ表現の限界に挑戦してんのか、こいつらは。
シュールで危険なこのライブ、どのバンドとも比べることなんて出来ない。正体を探ろうとしたのなんて間違いで、BSPは最初っから矛盾した輝きを放っていた。森に見立てたステージで繰り広げられる攻撃的なライブ・・・、それは彼ら自身の姿なのだろう。私はそんな彼らの見据える先がどこにあるのか、今はそればかりが楽しみ。
report by chia and photo by keco
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mag files :
GANBAN NIGHT : (03/12/19 @ Nishiazabu Space Lab Yellow) : review by taeko, photo by keco
リメンバー・ユー : (03/12/18 @ Shibuya Club Quattro) : review by chia, photo by keco
When Madness Pays Off : (03/12/18 @ Shibuya Club Quattro) : review by donald, photo by keco
キラキラ男子を目撃せよ! : (03/12/18 @ Shibuya Club Quattro) : review by satori, photo by keco
photo report : (03/12/18 @ Shibuya Club Quattro) : photo by keco
photo report : (03/12/16 @ Shinsaibashi Club Quattro) : photo by yegg
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