The Cooper Temple Clause @ Shinjuku Liquid Room (15th October '03)
6人の怒れる男
僕は今回怒られた。ガッツ〜ンとげんこつ6人分!ライブ終了後そんな気持ちにさせる若手のロックバンドはこのバンドくらいかも...THE COOPER TEMPLE CLAUSEだ。
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今、若手とつい言ってしまったが彼らはもう若手ではない。01年のフジロックではイギリスから超大型新人が早くも来日!といった状況で鳴り物入りでやってきた。しかし、その時のライブは"DEVIL WALKS IN THE SAND"と"PANZER ATTACK"というクーパーの必殺アンセム以外は精彩を欠くものだったと僕は記憶している。新人バンドは演奏が不安定だ、とか緊張していたのだろうとかそういった要素が彼らに無かったわけではないだろうが、一番気になったのはどんな音楽をやりたいのかがはっきりしていないのではないだろうかという点だった。様々な音楽を吸収して自分達のなかで消化し、その化学反応から生まれる音楽というものを期待していただけにまだ発展途上なのかな、と思っていた。そして今日、首を長くして待った甲斐があった。大きくなっていた。
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19時開演だと言うのに30分前には結構な人数のファンが前方でスタンバイしている。「みんな元気いっぱいだなぁ」と眺めている僕は21歳。「もっと気合入れていけよ」という声が聞こえてきそうですが、自分と同じくらいか年下っぽい人が大半だったような気がする。しかも女子率高し!クーパー侮れず。そんなこんなで周りに注意をむけていたところ、ふと気づいた。SEがボブ・マーリィだ。メンバーはきっと臨戦体勢だろう。SEで熱さやテンションが伝わってきた。 |

曲が盛り上がるとタンバリンを取り出し、バンバン叩いては投げ捨てるというパフォーマンスの連続も、調子がいい証拠に違いない。2曲目はいきなり"DEVIL WALKS IN THE SAND"。この変調長尺ロックナンバーをあっさりこなしてしまうあたりが、メンバー個人の演奏力アップをもの語っているようだ。そして、この日の照明はものすごくキレてたと思う。ステージの盛り上げに一役かっていた。照明の後押しもあって前半は2曲目でいっきにハイライトをむかえた。 |
そして客電が消えて登場。ものすごく緊迫した表情だったけど、それがいい意味の緊迫感であったことが第一音からわかった。すっごいイイ!クーパー特有のサイケデリックヘヴィネスに対して、抜けるようなスネア音が同時に聴こえてきて、気持ちいい。そしてやっぱりベンのがなり声を聞いた瞬間、握りこぶしに入れる力をいっそう強めてしまった。ベンのヴォーカルは言葉に全部濁点がついているのではと思うくらい力強い。調子はすこぶるいいようだ。
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しかし、その後の曲群で「んっ?」と思うところがいくつかあった。曲のダイナミズムや美しさ、激しさは申し分ないものだと感じてはいるのだが、何故か何処からか疑問符が浮かんでくる。その原因を考えてみたところ、わかった。僕は自分の体がグルーヴを欲していることに気づいた。ここからの話は個人的なものなのでクーパーのファンの方は気を悪くして欲しくないのだが、僕は彼らの演奏にグルーヴを感じることがあまりできなかった。それで僕は身体的に不満を感じていたようだが、ちょっと考え方を変えてみるとグルーヴというものに縛られなければやっぱり凄いテンションである。むしろ彼らは激しさを損なわないためにメンバー間のコンタクトを避け、わざと楽器一つ一つが発する音を直線的に放射しているのではと思えてきた。そう思うとそれまでの気持ちも吹っ飛んで楽しむ事ができた。たしかにこのバンドはテンションとアイデアは他のバンドの追随を許さないところが一番の売りだったのだ。音楽の形は何でもいいのかもしれない。「どんな音楽性に絞ってきたのかな?」なんて考えていた自分が情けない・・・ |
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最後、"PANZER ATTACK"、"PROMISES PROMISES"、"LET'S KILL MUSIC"の3連チャンでガツ〜ンと叱られました。「ロックだったらなんだっていいだろ!!」と。ごめんなさい、これからもクーパー的パンク魂を貫いていってください。期待してます。
report by toddy and photo by mari |
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