buttonJames Brown @ 日本武道館 (2003年10月3日)

- JBのキラキラ☆エンターテイメントショー -

 今日は起きてからずっとそわそわしていた。JBのライブがあるからだ。会場は武道館で、行きの電車の中では"LIVE AT THE APOLLO"を聞いて盛り上がってしまい、開演までまだまだ時間があるのに自然に小走りになっていた。九段下の駅の中で、武道館に向かっているのであろう学生風の青年も小走りしているのを見つけた。それを見て僕はいっそうテンションが上がってきて、

「今日はJBがここ武道館をその熱きソウルでアポロシアターに変えてくれるに違いないぞ」

と、心の中で今日のショーの成功を確信してしまった。

 会場に着き、周りを見渡してみると客層の幅広さに予想はしていたが驚いてしまった。それもそのはず、JBは70歳になったのだ。芸歴で考えると47年(!)これまでほとんど休まずこなしてきたショーの数々でつかんだきたであろうファンの数を考えれば当然とも言える。

 意外と若い人もいっぱいいるのは映画『ゲロッパ』効果もあるだろう。それにしても、いろんな人がいるということはとても楽しい気持ちにさせてくれるものだ。ディスコ世代の30、40代の人の格好はスーツからスパンコールばりばりのドレスまで、おばあちゃんや子連れ、B-BOYまでいて異様な空間ではあったが、それを見てJBの生まれ故郷アメリカの代名詞"人種のルツボ"という言葉がよぎった。それを考えるとJBの懐の広さには感服させられる。

 周りを観察しているうちに会場も人が埋まってきて、ライトがパッと消えた。照明がステージを照らし、さすがビックバンド、JBチームといったところかステージいっぱいにバンドのメンバーがひしめきあっている。よく見ると、ベースが二人にギターが三人、ドラムは二人にパーカッション担当が一人。どのパートにも二人は居る。そして、ロックのライブしか行ったことがない人は驚くかも知れないけど、このバンドにはMC担当がいる。言ってみれば司会者。

 そしてそして、肝心のJBは・・・いない?!

 そうJBのライブでは最初っからエースを登場させることなどない、バンドのメンバーがまず会場を暖めてから参上するのだ。JBが出る前からバンドのプレイヤビリティに驚かされつつ、司会がスッと中央にやってきてはおもむろにしゃべりだし、JBのヒット曲のタイトルを連呼するたびバンドが曲のフレーズをちょっと演奏し、それを繰り返すごとに観客のテンションは爆発寸前に。そしてみんなお待ちかねJBコールが始まり、来るか来るかとみんなステージの脇を凝視していたそのとき、

「出て来たっ!」

 武道館の観客は一斉に総立ち。僕が登場の瞬間に「うわっ!ゴリラが出て来たっ!!」と、周りに聴こえないように小声で呟いてしまうくらいの存在感、濃ゆさだった。シャレにならない以上にシャレにしかならないビジュアルに多少のけぞった。

 登場に圧倒される暇も無く、JBはたたみかけてきた。"Make It Funky"のフレーズを絡ませて、JBは華麗な足さばきで繰り広げられるチョコチョコしたダンスを展開し、様々な演奏を間にはさみ"Mother Popcorn"へナチュラルにつないだ。

 JBは二千曲のレパートリーを持つといわれているが、ライブになると一曲一曲は別々の曲ではなく、全ての曲が繋がり合って一曲と考えることができる。それはJBのステージが完全なるショーであるということを考えれば当然のことかも知れない。観客を一瞬たりとも退屈させないため曲間もマントショーをやったり謎のセクシー姉ちゃんがダンスでつないだりと何処を見ていても楽しい。

 そして中盤"Try Me"で泣かせ、"Living In America"でディスコ状態になり、白人の綺麗な姉ちゃんがヴォーカルを3曲もとったり、いろんなゲストが入れ替わり立ち代りで登場し、途中JBが姿を消したりと、あったことを全て伝えるのは不可能。

 お決まりのヒット曲メドレーが始まると今夜のショー最も熱い盛り上がりを見せた。"It's A Man's Man's Man's World"、"Please, Please, Please"、"I Got You(I Feel Good)"という、涙か汗を出すしかない反則ぎりぎりのラフプレーにイエローカードを突きつけたところに、出てしまった・・・レッドカードである。

"Sex Machine"だ☆ゲロッパ!!

 この曲の間の記憶はほとんどない。たしか今までに出て来たダンサーやゲストが全て出てきてステージ上は人でいっぱいになっていて、観客も思い思いのダンスを披露していた。20分くらいはやっていたのではないだろうか。JBはゲスト一人一人をエスコートして、最後は帰っていった。

 拍手喝采ではあったがアンコールは無かった。観客もアンコールを期待していたので退場のアナウンスが聴こえるとガッカリした様子である。が、しかし凄いものを見た。という気持ちはかわらない。また10年後、彼が80歳になった時来日してもらいたいものだ。

 "ミスターダイナマイト"、"ショービズ界一番の働き者"、"ゴッドファーザー・オブ・ソウル"など数え切れないほどのニックネームを持つ彼ではあるが、今日のライブを観て僕が一つニックネームを増やしてやりたいと思う。

 その名も・・・"god of stage"。JBは死ぬまで泥のように働き続け、終いにはステージ上で逝ってしまうのではないだろうか。

 しかし今夜のライブを見て100歳まで生き残ってくれることに賭けたいと思った。こんなに僕達にパワーを与えてくれる70歳はいないだろう。JB見たら10年は長く生きれるよ。

report by taddy


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