「ルーシーの影」
 テレビから聴きなれない声が聞こえてくる。当時、歌というものは声がきれいな人が歌うものだと思っていた私はその声にすぐ釘付けになった。ギャンギャンとうるさいギターの音。そこにやけに声のしゃがれたボーカルが重なっていた。それが私と彼らのファースト・コンタクトだった。

 翌日にはテレビのテロップを頼りにそのCDを買って、部屋にこもって聴いていたのを憶えている。そのCDジャケットには黒いスーツを着た四人が写っている。顔はよく見えない。バンド名も長くてイマイチ覚えられない。だが私は間違いなく彼らの虜になっていた。

 あれから約6年。彼らは私の中でロックの核の1つになっていた。そして9月1日、彼らはまた私に口にはできないほどの衝撃を与えた。

「解散」
Thee Michelle Gun Elephant
Thee Michelle Gun Elephant
Thee Michelle Gun Elephant  何度も何度もホームページを確認する。今まで何度このページを開いただろう。ライブの情報や新譜の情報をここから仕入れた。「rockin'blues.com」をクリックしようとすると、一番見たくないページが開く。それを無視し、アーティストのページへ急ぐ。「どうせメンバーの悪ふざけだ」と馬鹿らしいが自分に言い聞かせた。何回もクリックする。次第に画面は見えなくなった。

 ミッシェル・ガン・エレファントの音楽はいつも寂しい世界が舞台だ。お気楽な世界はない。一人ぼっちの男だったり、世界が終わったりする。まさに絶望的だ。だが、チバのボーカルは悲しくない。それこそ「この状況を何とかしてやる」という生命力に溢れている。

 決してポジティブなフレーズがあるわけではないが、人をその生命力で巻き込んでしまう力がある。チバはそんな天性のボーカリストだ。
 彼らは10月11日に最後のステージ立つが、きっとその生命力で会場を巻き込むだろう。絶対に素晴らしいライブになるはずだ。悔しいが私は最後のライブを見ることはできない。今まで彼らからたくさんの力をもらった。ミッシェルのおかげで今の自分がいる。本当にありがとう。別れの言葉は絶対言わないが最後にこう言いたい。

 ねぇ 聞かせてよ そこの世界の音を


contribution from taisuke and photo by saya38
Thee Michelle Gun Elephant

The official site of
Thee Michelle Gun Elephant is;
http://www.pattismithland.com/

Thee Michelle Gun Elephant
アルバムのチェックする?

サーチ:
Amazon.co.jpアソシエイト

無断転載を禁じます。The copyright of the articles belongs to 中村泰介 and the same of the photos belongs to "saya38" Takahashi. They may not be reproduced in any form whatsoever.
To The Top.