この日は"REVERB SYNDICATE"というイベントだった。バンドの組み合わせ、宙ブラ
リとMONG-HANGとDMBQという三つ巴戦を「うわっ、豪華だな」と思った人は、相当な
重病人だろう。それはおれか。
まずは宙ブラリ。一言で言うと「着物を着たガレージパンク」とでもなるかな。3
人組で、ギター&ヴォーカルの人がパンツ一丁に着物を羽織っている。歌もMCもなん
か演歌っぽい雰囲気も感じさせる。だけど、暴走、または疾走していくパンクな演奏
は爽快だ。ドラムは何気に上手いし、ベースはまともなポジションで弾く気が全くな
いようで、腰より低く構えたり、ブン回したり、ジミヘンのごとく頭の後ろで弾いた
り、やりたい放題。
曲が終わる度に「魂のチューニングはしてますかぁ?」と言って大げさな身振りで
チューニングを始める。チューニングまで芸に組み込んでいる人を初めて見た。
ちょっと哀愁の入った歌メロはインビシブルマンズデスベッドに近いものがあるか
なーと思ってたら、デスベッドとギターの人が観に来ていた。最後はガムテープでギ
ターとベースを天井のパイプにくくり付けて文字通り宙ブラリにする。
次に出たMONG-HANGは何と言っていいのだろう?言葉を絶するバンドである。「何
じゃこりゃ」度数が高い。どうにか言葉に当てはめてみると、キング・クリムゾンや
イエス並のテクニックを持ち、Pファンクのファンキーさがあって、パンクの破壊力
を持っている。外見は、黄金の仮面を被っているのもいるし、ベースが首長族だし、
ヴォーカルは羽根やら何やらで飾り立てた被りモノだし。揃いの白装束は、オ○ムか
K○Kか。そしてヴォーカルが発するのはハナモゲラ語。このバンドを初めて観たと
き、あまりのインパクトに唖然としてしまった。これで3回目なんだけど、その衝撃
は変わらない。
スティールドラムや木琴(鉄琴かも)を使った音は多彩だし、ロックンロールから
ROVOやAOAを思わせる人力トランス風までいろんな音楽が詰め込まれている(前に観
たときはインチキなシャンソン風の歌もあった)。そして唐突に、「ナハナハ」とせ
んだみつお風に腕を上下させる。そんな怪しいお笑いワールドは渋さ知らズに通じる
ものがある。というか、一回渋さと対バンしたことあるみたいだし。
一言も意味ある言葉を発せず、意味不明なインパクトを残して去って行った。お客
さんはじわじわと増えている。野外というか、林の中に分け入ったステージでやって
いる、というシチュエーションがいいと思う。
バンドとバンドの間にはDJとVJをやってDJの節操ない選曲(つなぎのテクニックは
ない)と、VJのいろんな映像(名画、B級ホラー、ドキュメンタリー、ニュース、バ
ラエティ番組、プロレス、CM、オリジナル映像、CGなど)で楽しませる。
最後がDMBQ。どこをどう切っても70年代ハードロック。ステージを駆けずり回り、
お客さんのところへダイヴしたり、アンプに登ったりと暴れまくる。そんな男ども3
人を見守るドラムの吉村嬢は、こんなにニコニコして叩いているドラマーもあんまり
いないと思うほど笑顔が印象的。それでいて、ヴォーカルの増子はMCで愚痴とボヤ
キ。熱く激しいライヴとの落差が面白いし、熱血一直線な実の兄貴である怒髪天の増
子との違いも面白い。
どのバンドも真剣に演奏することと、笑いを両立させている。こういうバンドが
いっぱいあるから楽しいんだなライヴハウスは。
report by nob. |