この日はBLEACHの約4ヶ月ぶりの東京のライヴだったので「港区海岸No.1 Music Place」というイベントに出かけた。この4ヶ月間もBLEACHは地元沖縄ではライヴをやっていたようだ。 始まる前、ドラムの所に3人が集まって礼をする。高校野球の試合が始まるような緊張感が漂ってくる。この日は5つのバンドが登場したのだけど、音が出た瞬間に空気が変わってしまったのは、このバンドだけだ。不穏なベースの音と共にギターとドラムと叫び声が襲い掛かってくる。前にも書いたことだけども、このバンドの「すけ」というベーシストに驚かされる。このようにベースを弾く人は見たことがない。チョッパー奏法で速射砲のように繰り出されるベースラインは、テクニックのひけらかしなんかじゃなくて、ベースに自分の全てを叩きつけているかのようだ。ベースから命があふれ出ている。それは、もはやリズムの道具でもない。 カンナのギターカッティングは鋭くて、すぐに弦を切ってしまうくらいだし、お姉さん的なキャラのサユリのドラムも迫力ある。とは言っても減点法で見ればいくらでもアラは見つけられるかも知れない。だけど、この3人が持つ迫力の生々しさは、そんな見方なんかくだらなく感じさせる。このパワーは、今、ここでしか見れないのではないかと思わせるほどのスリルがある。3人がぶつかって異様なパワーを生み、観る者にインパクトを与える。新曲がスカの要素を感じさせ、踊りたくなるような曲で新展開。観るたびに驚きがあるのが嬉しい。 音楽に何を求めるのか。癒しだったり、真摯なメッセージだったりと、いろいろあるだろうけど「何じゃこれは!?」という驚きも大切なことだと思う。そして、その驚きの中にはお笑いもあれば、観る者に不穏な感覚をかきたてるものもある。彼女らの持つパワーはまだまだ原石だけども、演奏を始めたらサッと空気を変えることができる、今はそれで十分だ。 BLEACHはしばらく東京のライヴはなくて、地元での活動になる。もっと東京に来て欲しいと願わずにはいられない。 report by nob. |