|
おそらくはドラッグ中毒かなにかなのか、かなりボロボロな2人であり、それぞれの孤独感と、何が現実「リアル」かがあやふやな薄生、狂気の状態なのだろう。そんな女性に「いつ(ここ、すなわち、こんな状態から出て)行きたいの?」と促す。アンソニーはどこか柔らかく、かすれたように静かで淡々とした歌い方でそう歌い、ジョンがそんな心情のギターを弾く。 |
![]() |
![]() |
話は詩中に戻るが、落ちぶれている間にいろいろ何が現実(リアル)なのか目が醒めてきて、そんな精神状態のなか、「友達」が出てくる。おそらくこの友達の存在が、アンソニーにとっての「現実」であり、激しくその友達=現実に向かってアンソニーは激しく叫ぶ。「Don't foget me」と、「俺のことを忘れないで」と。そしてその叫びは、俺を独りにしないでくれ、俺は落ちぶれたくない、見捨てないでくれ、とも聞こえるようだった。そのアンソニーの歌および叫びに合わせて、ジョンがとんでもない悲痛に満ちた心からの叫びのような、そしてそれはからだじゅうを激しく駆け巡り、溢れかえるような音色のギターを弾く。2人ともその瞬間は、間違いなく現実に存在していて、どんどん消えかけていくその自我の存在を、消えたくないという叫びでもあるように聞こえた。 僕はとある元ドラッグ中毒者と話したことがある。ドラッグの禁断症状について聞くと、「(ドラッグをすることによって)自分が少しずつ自殺していくのさ」「そして末期は自分の生死の感覚のバランスに線がひけなくなるんだ」とその人は答えた。 |
| アンソニーとジョンは、自身の体験談からなのか、まさに少しずつ自殺していく「自我」のなかで、「俺は死にたくない」ともうひとつの自我が、死にかけてゆく「自我」に激しく訴えかけるようでもあった。そう、彼らは哭いていた。涙を流さないが、心が激しく哭いていた。そんな2人の姿を見て、その瞬間、僕は頬に涙がすっとこぼれた。無意識でだった。 | ![]() |
![]() この日のライブを振り返ると、僕もred hot chili peppersには、グルーヴ感を求めてライブに来たが、アンソニーの綺麗に歌い上げる曲すらも、曲にグルーヴとエネルギーに満ちていたのにビックリし、そして「don't forget me」でそんなテンションをさらに超えたエモーショナルであり極限状態からの音を聞かされ、圧巻だった。そして、前述しているけど、僕は「don't forget me」で、アンソニーの我の叫びと、ジョンの悲痛に満ちたギターの音色と、それを支え、リードするかのようなチャドのドラムと、一定のリズムを築きつつ、アンソニーとジョンを支えるフリー、その4つの激しいイマジネーションの衝突を見て、涙がこぼれて仕方なかった。目をつぶって今あのライブを振り返ると、見えてくるイメージはその瞬間であり、特に激しく表現しているジョンとアンソニーの表情が、鮮明に蘇ってくる。決して抽象的でもなく、遠い存在でもない、ただひとつのリアルとして。 |
「don't forget me」のあとは、少し気分転換のような感じで、The clashの「London calling」のリフから、「right on time」に。再び会場は盛り上がってきて、そのまま「give it away」に。アンコールは彼らにとってものすごく重要な曲「under the Bridge」。いまさら語るまでも無いと思われるけど、簡潔にこの曲の詩について触れると、red hot chili peppersの初期ギタリストであり、ジョンが敬愛してやまなかった、オーヴァードラッグで他界してしまったヒレルに捧げた歌でもあり、アンソニー自身もドラッグへの決別を誓う歌でもある。そして「Me&My Friend」と最後に爆発して終了。
![]() report by taku and photo by nishioka. *なお、写真は2日の幕張メッセでの公演を撮影したものです。 |
|
http://www.redhotchilipeppers.com/ warner music japanの公式サイトは |