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'01年にフジロックに出演を果たして、その歌声を苗場に響き渡らせてから、はや一年。新作「Under Rug Swept」が発表されてから、やや間隔が空いての来日公演となった。場内はびっくり。ガラガラでした。2階席がほとんど埋まってない。確かに前作「Supposed Former Infatuation Junkie」はイマジネーションというか、抽象性が強かったのか、曲調のいくつかがドロドロしたダークな世界観を築いてて、それらのせいで世間的には不評であったようけど、新作は、1stの「Jagged Little Pill」の頃のメロディ、楽曲の流れを汲んでる節があるから、そこそこ武道館が埋まるものだとは思ってました。 さて、そんな客の入りとアーティストのプレイはほとんど関係なし。黒のタンクトップに黒のレザーパンツというバイカー&ロッカーのラフなスタイルで登場。1曲目がいきなり「baba」で、変態的爆音ギターがリフを刻み、みんなが待っていた「アラニス」が歌う。ヘビィで太いギターの音を従えて、ロックに歌う。そしてステージの上手下手と行ったり来たりを繰り返しながら歌う。とにかくパワフルだ!アラニスの声が変態極太ワウ付きのギターにまったく負けてない!そんな強烈な「アラニス」にバシっと先制された。 よくよく落ち着いて聞いていたら、彼女は、大きく分けて4パターンの歌い方、ライブパフォーマンスをする。まずひとつが、「baba」「you oughta know」ように、ヘビィであり、時には変態的極太ギターリフと共に、「太く」ロックする歌い方。とにかく太い。ギターとアラニスの声の2つが、激しく主張してる。アラニスもステージ上を激しく動いたり、そして回転する。 もうひとつが、ときにはアコギを持ち出したりして、「Flinch」「That Particular Time」のようにしっとりとバラードとまでいかない静かで綺麗な曲をステージ中央動かずに歌う歌い方。一番リラックスして演奏しているように思える。 もうひとつが、「you clean」「precious illusions」のように、「太くロック」と、アコギを持ち出してしっとりと歌う、その2つの中間点とも言える「綺麗なメロディでちょっとロック」を、紫と銀ラメでカラーリングされている(多分)ストラトでカッティングしながら歌う歌い方。 もうひとつが、ギターを置き、パントマイムのような手での表現をしながら、まるで自分の内面だけしか見つめていない、感じていないかのようなテンションで、自身の衝動を時にはドロドロに、ときには綺麗に、ときにはバラードとして歌う歌い方。この歌い方がもっとも何かを訴えかけるようなパワーを持っていて、そのパワーは、「太いロック」のアラニスと比べて、パワフルというより、ソウルフル。見ていても、聞いていても、僕だけでなく、さっきまで太いロックでスカッと楽しんでいた人たちの目が、アラニスに惹きつけられて真剣に見つめる目になる。 会場での盛り上がる曲などを察するに、最初の「太いロック」が、一番会場が沸くので、太いロックを歌う「アラニス」を多くの人は望んでいるようだった。「待ってました!イヤーこの曲やってくれたよー」という雰囲気。でも、僕としては、格好いい「太いロック」ってやつは、他にもやってる人、バンドはいっぱいいて、別に「アラニス」じゃなきゃダメ!という感じじゃない。アラニスがデビュー当時なんかは特に、女性が太いロックをやることに意味があったのかもしれないけど、本来はロックに男も女も性別は関係なくて、女じゃなきゃダメ、男じゃなきゃダメってのがロックにそもそも無いと思う。だから、アラニスにロックだけを求めがちな人たちには、ちょっと否定的な感情を持ってしまう。僕がアラニスが素晴らしいと思うのは、その見る人を惹きつけ、思わず真剣な目で見つめてしまうそのテンションであり、それを綺麗な声と綺麗なメロディで歌えることだと思ってる。ていうか、ライブでも、アラニスに太いロックを演るのを望んでた人たちも、その内なる衝動だけを伝えようとするテンションで歌うアラニスに、思いっきり惹きつけられててるし。それを見てて、こういうことをやろうとしてるアラニスも支持して欲しいなぁと思いました。僕は、アラニス・モリセットという人はロックンローラーというより、本来望んでいるのは、むしろジャンルにとらわれないでもっと自分の内面だけを見つめてそれを表現していくアーティストだと思うので。そんな彼女にロックだけを求めるのは酷だぞ、と。 report by taku. |