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-- 寿 -- 僕は会場の場所がわからなくてかなり迷っていて、ポスターにかかれている地図をにらめっこしていたら、同じく遅れて来て会場がいまいちわからない人に声をかけられて、一緒に会場まで行くことになった。そのときに、誰を見に来たのか、という話題になって、その人は「寿」と言った。僕はその時点で寿を知らなかった。いろいろ話を聞く。どんなバンドでどんな音楽かと。広島の方と沖縄の方のバンドで、曲調もどことなく沖縄音楽をやっていて、詩は、沖縄の問題や人権問題などを唄っているバンド、と教えてもらった。 いざ聞くと、確かにキーがどこか民謡ぽさがあり、民族音楽でもロックでもポップスでもありそうだが、「これ」と該当はされない。後日、CDの曲を公式サイト(http://www.kotobuki-nn.com/)にて聴いたが、その曲たちとは、このときのライブと印象がぜんぜん違う。試聴する限りは環境音楽の要素も感じるのだが、この日のライブは完全なバンドサウンドがほとんどであった。寿というオリジナルなサウンドであった。僕は原曲をまったく知らないので、ほとんどがはじめて聞く曲ばっかであったが、とにかくからだへの入りはすこぶる良い。聞きやすかった。どっちかというとスロウなテンポ、リズムなのだが、とても観客は沸いていた。ノリノリだった。ボーカルのナビィの声が本当に素晴らしく、躍動感にあふれて生き生きとしていた。もしかしたら前述した彼らの扱うテーマ(沖縄のこと、人権問題)に深く触れた曲を演奏していたかもしれないが、この日のステージングは、そういう「なにか問題があってそれを世間に知ってもらいたい」というニュアンスの、伝えるという感じでは無かった。無料コンサートなので、興行ではなく、お客さんも気軽な感じでいて、いわゆるショービジネスな空気はまったく無いし、ただ純粋に音を出すことへの楽しさ、音出して楽しいでしょ?生きてるっていいでしょ?といわんばかりのからだ全身からのメッセージ。シンプルなメロをナビィが唄う。観客が後に続く。合唱がはじまる。僕も続いて歌う。みんなで音を出す楽しさを分かち合っている。とてもシンプルなメロディ、みんなで唄ったメロディは、数日たった今でも感覚として僕のからだのなかに残っている。そして「花」「上をむいて歩こう」とカバー曲でフィナーレに。「花」で観客はあらためてナビィの音をじっくり聞き、そのまま、「上をむいて歩こう」へと続く。とてもシンプルな歌詞だが、本当に涙がこぼれそうだった。思わずステージにいるナビィを見ないで上を見上げた。コの形の建物に囲まれた青い空がそこにあった。幸せはあの空の上にあるのだろうか。僕は確かに今この瞬間、ナビィが唄うこの曲を聞いて泣きそうになりながらもここに生きている。
Part3へ report and photo by taku |