ひとつのバンドを続けて観るというのはすごく楽しい。東京に住んでいるとそのありがたみが身に沁みる。都内にはライヴハウスがたくさんあるからだ。成長していく様子を目撃できるバンドは時間的・金銭的な制約から日本のバンドになってしまうけど、このようなバンドに出会えれば十分だ。それは、去年、高円寺でのモーサム・トーンベンダーとの対バンで初めて観たボストン・クルージング・マニアというバンドである。 それから何度か観る機会があったのだけど、ソニック・ユース風のギターノイズに始まり、ROVOやSOFTのような人の力によるトランスに突入するという気持ちのよい展開に、鹿島エス尋のポエトリーリーディングのような攻撃的な声が乗っかるという独特な世界であった。フジロックで言えば、フィールド・オブ・ヘヴンが似合うバンドだった。だけど、この日の秋葉原の楽器屋の地下にある小さなライヴハウスで観た彼らの変わりように驚かされた。以前は最初にギターの2人が淡々とノイズを出しながらメンバーが増えていくという展開だったのだけれど、このライヴでは最初から全員揃っている。ヴォーカルの鹿島エス尋は、かつて徐々に乗ってきて動き出すのだけど、始めから踊りまくっている。何よりも肝心の音がめちゃめちゃ攻撃的になり、5人が一体となって出す音の重さがズシンと響いてくる。変拍子のハードコアパンクというか、アグレッシヴな80年代のキング・クリムゾンというか、とてつもなく変なんだけど、迫力があって格好良くなっている。「うわー、こんな風に変わったのか」と連れと顔を見合わせてしまった。これなら今年のフジロックで言うとホワイトステージの明るいうちが似合う感じになっている。ちょっと見ない間に彼らに何が起こったのか。この日のパワフルな演奏は次に何が起こるのか期待させるのに十分なものであった。 協力:マーブルリヴァー report by nob. |