BLEACH at 下北沢BASEMENT BAR(2002年8月23日)
 RUM TAGというバンドのアルバム発売記念のライヴに中尾憲太郎28才とアヒト・イナザワがDJ、田渕ひさ子と向井秀徳がゲストでステージに立つとなるとナンバーガールのメンバーが勢揃いである。何か起こるなと思い、下北沢に出掛けていった。

 前座がBLEACHという3人組のバンドでギターとドラムが女の子。最初、ベースが女装した男だと思った。ああ、またパンクっぽい女の子バンドかぁ、とタカを括っていたが、音が出た瞬間に度肝を抜かれた。・・・こりゃレッチリだ。最近の枯れたレッチリ(大好きだが)でなく、『Mothers Milk』の頃のギラギラとしたレッド・ホット・チリペッパーズである。特にベースが凄い。指を弦に激しく叩き付ける、それはチョッパー奏法とでも言うのかもしれないけど、のんきに「奏法」とか言っている場合じゃない、持てる力のすべてを弦にぶつけているかのようだ。髪を振り乱し、吠えながらマシンガンのように速射されるベースラインに唖然となった。ギター&ヴォーカルの女の子が美人タイプでミニスカートから伸びた足がきれいだったりするので、男ならずっと観ていたいものである。しかも、この日はたまたま最前列にいた。にもかかわらず、目はベースに釘付けになる。

 演奏の合間のMCを聞いて、ようやくベーシストが女の子だということがわかる。しかも、ど迫力の演奏に似合わないアニメ声。このギャップも面白い。彼女らのMC(3人とも喋るが、メインで喋るのはドラムの子)を聞いて彼女らが沖縄出身であることが分かった。そして、ベーシストの子が「性別も、国境も越えた音楽をやっていきたい」とキッパリと言い切ったこと、それがこのバンドの原動力になっているのだと感じた。

 ベースの子は演奏しながらキレたように吠えまくり、キング・ブラザースのマーヤのようにマイクをくわえたりする。この人はベースを演奏していないと死んでしまうのではないか、と思えるくらいギリギリの力を振り絞って音をぶつけてくる。最後にはフロアへダイヴ。こんなに熱を放出するライヴは滅多にない。冷静に振り返るとギターも鋭かったし、ドラムも重い。3人のパワーが組み合わさって、この音になっているのだ。

 この後に行なわれたRUM TAGのライヴも良かったし、ゲストの田渕の「さらばシベリア鉄道」や向井のニール・ヤング"Hey,Hey,My,My"のカヴァーも面白かったし(あと、ルミナス・オレンジの竹内陽子が参加したThe La'sの"Timeless Melody"は素晴らしかった)けど、考えるのはBLEACHのことである。滅多に買わない会場の物販のCDも買ってしまった。何も予備知識なしでライヴを観て、こういうバンドに出会い、ぶっ飛んだ体験ができるからで、やっぱり行けるときにはライヴハウスに足を運ばなくてはと改めて思った次第。後で、いろいろ調べたら、沖縄ではすでに人気のあるバンドであるようだ。っていうか、沖縄ってそんなに凄いの?

協力:マーブルリヴァー

report by nob.


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