buttonPatti Smith at FRF '02 (26th July '02)

Palace of Wonder

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Palace of Wonder

--〜怪奇広場の夜はふけて〜
これぞフェスティバルの醍醐味!!
「THE PALACE OF WONDER」--

 苗場にやってきて4年目となる今年のフジロック。何年も参加していると、「今年も帰って来たなぁ」といった感慨も芽生え、オーディエンスのみならず出演者やスタッフもそれぞれ行動パターンを確立したように感じられる。ところが、毎年のように進化し続け、必ずSomething Newを発見できるのがフジロックのすごいところ。今年は何と言っても怪奇広場「The Palace Of Wonder」がその筆頭だったと思う。まず、New Band Stage「Rookie A Go-Go」が昨年以上にオーガナイズされて本格化。インビジブルマンズデスヘッドなど、新たな息吹を感じさせた。

 そして、このエリアの最大の目玉がイギリスのアーティストJoe Rushの手による、巨大なRed Antをはじめとするエキサイティングなオブジェ群「MUTOID WASTE」。特にRed Antは背中の部分がDJブースになっており、サウンドシステム搭載というのだからビックリ。The TrojansのGazがフリータイムにまわしているのを楽しんだ人もいると思う。しかも、Red Antに噛みつかれたクルマにはプロジェクターが仕込んであり、Glastonbury FestivalのVideo映像などを会場入口のスクリーンに投影していた。こうしたアイデアも見事というほかない。実はこのオブジェ、Joe Rushの描いた設計図を基に日本のスタッフが廃車置場からかき集めてきたバンパーやマフラーなど日本車のスクラップを素材にしている。つまり、日本にやってきて初めて手にした素材を前にああでもないこうでもないとアイデアを出しながら短期間のうちに構築していったわけで、それであの完成度はまさに驚異的だ。大衆誌「週間新潮」8月8日号でトップの扱いだったのも頷ける。

 夜11時を過ぎるといよいよ、見る者誰をも興奮させるバイク・スタント・ショーが始まる。アメリカからやって来た「The Globe Of Death」にはただただ唖然。直径5mほどのミラーボールの中に女性が入り、最大3台のマシーンが猛スピードで飛び回る。見ているだけで目が回るのによくバイクでグルグルと回れるものだ、まさにクレイジーなやつらとしか言いようがない。バイクの爆音が鳴った瞬間、キャンプ・ファイヤーにいたイアン・ブラウン、「お化けカフェ」で飲んでいた浅井健一やRock'n'Roll Gypsiesのメンバーたちも集まってきてかぶりつきで見ていたのも微笑ましい。そして、数名の観客を横に寝かせてその上をジャンプしたり、狭いトラックの屋根で片輪走行をやってのける「HONDA Trial Demonstration Team」は、その真剣なパフォーマンスに不似合いなライダーさんのコミカルなお喋りに思わず笑った。しかし、よう喋る人だったなぁ。

「The Palace Of Wonder」の再奥にひっそりと存在する謎のキャンプ・ファイヤー。その周囲は廃材やガラクタを使ってクールにデコレーションされ、無数の旗がはためいている。丸太の生木を何本も燃やし火の粉がバチバチ舞う。このダイナミックな炎を取り囲んでいるのはイギリスからやってきたとおぼしき外国人たちで、しかもみんな騒々しい。スラング英語がバンバン飛び交う異国空間で日本人は足を踏み入れるのも躊躇しそうだがご安心を。この「一見さんお断り」的な雰囲気のなか、入口には大きく「観迎」と書かれたすだれがかかっている。(「観」の字が間違っているのがなんとも滑稽)

 ここは、フェスティバル・フリークのJoe Strummerが、日本のみんなにも本場Glastonbury Festivalの雰囲気を味わってもらおうと(実は本人が一番楽しんでいたようだけど)、仲間たちとつくりあげたキャンプ・サイトである。Joeは例年Glastonburyのバックステージでもこういった場所をキープして友人たちとワイワイ楽しんでいるそうだが、今年は大きなボストンバッグをいくつもかかえ、それをそっくりそのままパックして苗場までやってきたというわけだ。昼間は物珍しそうにカメラで記念撮影していく日本人のフジロッカーがそこそこ訪れる程度だが、このサイトの本領発揮は深夜から早朝にかけて。それを知ってか知らずか、イアン・ブラウン、ケミカル兄弟、アレック・エンパイア、クーパー・テンプル・クロウズ(以下クーパーズ)、スキャタライツ等々、数多くの海外ミュージシャンたちがひっきりなしにここを訪れてくる。

 Red Marqueeの全アクトも終わりフェスティバル会場が一旦クローズする午前5時。今までだと数時間後の再入場にむけてしばしのブレイクとなるが、ここ怪奇広場ではこれまで見たこともないおバカなパフォーマンスが始まろうとしていた。「トレインスポッティング」では麻薬の売人役で登場した英国の人気アクター(「決してコメディアンと呼ぶな」と本人)Keith AllenによるKARAOKE SESSIONである。何の変哲もない、温泉旅館にでも置いてあるようなカラオケセットがキャンプ・ファイヤーの正面にセットされると、それまで騒ぎ疲れて寝ていたJoeやその仲間たちもいつの間にか戻ってきている。

「とにかく面白いから見逃すなよ」スマッシュ・ロンドンのスタッフからそう聞いていたので、こちらは期待でワクワクしていたが、朝方チル・アウトしにやってきたフジロッカーたちはいったい何が始まるのか不思議そうに眺めている。カラオケセットをスタンバイしている間、Keithはあちこちの人にカラオケリストを手渡して選曲させる。英語のよく分からない友人は、これから自分が何をさせられるのか分からないままに「アーユー・オーケー?」と突っ込まれて思わず「オッケー!」と答えてしまい、実はカラオケ・シンガーに任命されたことを知って絶句していた。Keithは「できれば外国曲を」とリクエストするのだが「My Way」「Hey Jude」など数曲しかなく、いきおい日本の歌謡曲やJ-POPを歌うハメになる。

「レディース・アンド・ジェントルメーン」とKeithがショーの始まりを告げると、焚き火を囲んだ人々から「待ってました!!」とやんやの大歓声。どうやら、本国ではそうとう有名人らしい。

 さあ、カラオケ・セッションが始まった。これがただのカラオケ・ショーかと思ったら大間違いで、とんでもなく面白い!!一言で言えば、カラオケを皮肉ったコメディ・セッション。歌い手は完全にダシにされ、Keithが毒舌調の合いの手を入れたり歌い手をコケにしたりといったパフォーマンスを行いその場を盛り上げるのだが、次に誰が何をやらかすのか興味津々で飽きることがない。このセッションは、毎朝気のむくままに開催されていたが、一度見た人のほとんどが翌朝も必ずやってきた。ちなみにちゃんと歌えばそれなりの拍手がもらえる。湯沢だからというわけではないが、YAZAWAの「I LOVE YOU, OK」を歌わされた私はクーパーズのメンバーから「F??kin' great singer !!」と呼ばれ、アンコールまでやらされてしまった。(たぶんジョークだったと思うけど)

 さて、フジロック全てのショーが終わった翌朝もカラオケ・セッションは始まった。ハイライトは何と言ってもYoung Neilくん。図々しくも「できればジョーと歌いたいんですが…」と切りだしたところ、Keithがニヤリ。会場からJoeのコールが沸き起こり、とうとうステージに引っ張り出して「Love Me Tender」をデュエットしてしまった。その後もJoeのアカペラあり、Gazもマイクを握ったりと、日本では絶対にお目にかかれない光景が延々3ステージも繰り広げられた。こうしたハプニングがあるからこそ、フジロックは面白い。まさにこれがフェスティバル!!

 ちなみに一番ウケていたのは「スーダラ節」を全身全霊で歌い踊りまくった彼女。その場にいた全員が笑い転げて死にそうになっていた。絶対にこの人、天才です。ぜひ来年もまたやってね。

report and photo by matsu.


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