Plaid at Electraglide、幕張メッセ(2001年11月30日)
 彼らを知ったのは1993年のことだった。あの伝説的テクノユニット「The Black Dog」として、Warpのこれまた伝説的コンピレーションアルバム「Artificial Intelligence」に収録されている曲を聴いた時だ。

 彼らのデビュー曲にはある有名なフレーズがサンプリングされている。

『僕は自分の部屋に佇み、未来を夢想する』と。

 それが何を意味するものか。彼らのサウンドの原点はここにあると言って良い。それは社会から逃避している自閉的な世界を彷彿させる。逃避というと外の社会を完全に拒絶している印象を受けてしまうが、彼らの思いはもっと楽観的のようだ。

 そんな彼らのステージがどんなものになるか全く予想つかなかったし、それ自体が盛り上がるのだろうかとっても不安だった。

 定刻通り登場したエドとアンディの2人。ステージの演出はとくに凝った仕掛けもなくたった1つのスポットライトに照らされた2人は淡々とプレイを始める。そして2人の後方に映し出されていた映像が不可解ながらも妙に刺激的でとても興味深かった。

 選曲は新作「Double Figure」からが中心であったが、これまたライヴで聴くとそのすばらしさがいっそう際だったようだ。前半のクライマックス「New Family」ではイントロが流れた途端、オーディエンスが歓喜の声をあげた。

「鬱」を全面に押し出したようなそのメロディと、映像からの文字による問いかけであった『内相的な自己との葛藤』が、自分自身に見事にマッチして、踊りながらもこんなに自分というものを考えさせられてしまったのははじめてだ。(笑)

 決してテクを売りにしたりする人たちではないし、はじけ飛ぶ激情を催すノリでもない。 『自分からはあまり話さない方?』などといった映像からのメッセージをオーディエンスは自分なりに解釈していたようだ。心理的なところまで問いかけてくる、そんなところが彼らの音楽のすごいところだ。

 後半のクライマックスはやはり「SQUANCE」だった。彼らの曲の中でもかなりPOPな曲で、まわりの人たちは歓声をあげて踊りくるっていた。こんな展開になるとも思ってなかったが、とにかく楽しかった。わずか1時間ちょっとのステージだったが、とてもすばらしかった。

 ただ、かなしいかな知名度の点で他のアーティストに劣るのと、DJステージではちょうどFatboy Slimがプレイしていたためにオーディエンスの数はすこし寂しかった。もっとも快適に踊れたんでよかったのだけれど。

 エレグラ終了後にあちこちで耳にするのは「Plaidは最高だった」の評判。なんだかとってもうれしい。1996年Bjork来日公演のツアーメンバー&前座だった彼ら。当時はテクノフリーク以外にはその心意気が伝わることのなかった彼らが、ようやくみんなの心の中に浸透してきたのであった。

report by ponta.


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