Muse at Arena, London(2001年11月13日)
 私が今回のMuseのライヴで心配だったことは前回のツアーと内容が同じ、もしくは似たよっているのでは?という不安。なぜなら彼らはもうすでにアルバムプロモ用のUKフルツアーは春から夏にかけてで終えてるし、とにかくいそがしすぎる彼らに、新しい試みや内容を期待することはあまりできないのではないか、と思っていたからだ。しかも前回のアルバム用ツアー終了からわずか半年ほど。

 だがそんな不安も不必要だった。なぜなら彼らは「Muse」だからだ。そしてこのバンドはMatt Bellamyという不思議な武器を持っている。きっと誰も彼の思考が次はどこにいくのか予想はできないだろう。きっと彼自身でさえ。だからおもしろいのだ。前回のツアーでの情熱的な赤い薔薇の世界は見事に真っ黒な暗黒の世界に変わっていた。そしてMatt Bellamyの興味は宇宙からオカルトに変わったらしい。ライヴが始まると同時に流れ始めるミステリアスな男の声の朗読。ステージに置かれた2つのスクリーンに映しだされる不気味な影絵。まるでFuji Rockの時のEminemのイントロ(ブレアウィッチプロジェクトのパクリのビデオ映像)を思い出してしまった。

 この日はまず、セットリストの曲の順番がめちゃめちゃ良かった。一曲目でいきなり新曲。そして客をだんだんと魅了していき、ラストでNew Born、Muscle Museum、 Plug-in Baby、Unintended、Hyper Musicとシングルヒット曲を連発。最後はお決まりの何十個ともなる風船が天井から落ちていき感動のフィナーレを迎えるBliss。もう完璧としかいいようがない。

 そして今回のツアーでMatt Bellamyが試みたのは本物のピアノの導入。前回のツアーではセットリストには入っていなかった壮大なSpace DementiaやMegalomaniaもMattの素晴らしいピアノ演奏にのって披露された。Screenagerみたいなシンプルでか細い曲までピアノ用に壮大にアレンジし直してしまっていた。 じゃあMattのギターは?  と思うだろうがこれもまた圧巻。Darkshinesの中盤ではすごいギターテクを披露してくれたし、Hyper Musicの終盤なんてレイジなみのメタルパートをくっつけて演奏していた。眠る時間もないほど忙しいはずなのに彼らのどこに曲のアレンジを考え直したり付け加えたり、そんな時間があったのだろう?  全く頭が下がる。

 ステージ両横に映し出される大きな彼らのシルエット(影)はまるでSunburnのPVのような姿の見えない大きな影のよう。これも彼らのオカルトな演出の一部だったのだろうか。

 そしてみんなのフェイバリット、「Unintended」を、「しばらく演奏してない曲なんだけど。」と付け加えたあとに静かに響かせ始めたあの場面はRadioheadがOxfordでCreepを演奏し始めた時と非常に重なるところがあった。

 London Arenaは約12500人収容のVenue。 彼らのライヴ人生にとって間違い無くBESTに大きいVenueであろう。それでも彼らはナーヴァスになるどころか、会場が大きくなるにつれて彼らにとってのライヴの楽しみの度合いが増しているのがすごく感じとれる。前回のツアーのライヴが最高に素晴らしくて、あれが「頂点」だと私はその時は思っていた。だが今回のLondon Arenaで、彼らはまだまだ成長可能なことを知った。絶対に期待を裏切らないバンド。それがMuse。そして今UKでもっとも輝くライヴバンドであることも確かだ。

Reported by Eri Takahashi.


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