Radiohead at 日本武道館(2001年10月2日)
 7時ちょうど。今日は暗転直後にメンバーがあっさりと登場。大阪二日間と同じ3曲でRadiohead関東公演の初日がスタートした。今日はアリーナ10列目という素晴らしいチケットを取ることができ、メンバーの表情まではっきり見えて、ステージ上の照明もこんな前の席だから一緒に包み込んでくれる。逆にちょっと前過ぎるかなと心配した音のほうも全然問題はなく、まるでトムヨークが耳元で歌っているようにはっきりと何の障害もなく聞こえる。それにしても今回のRadioheadのコンサートは音がいい! 人からあんまり音よくないよ、と聞いていた大阪城ホールも本当に素晴らしい音響だった。こういうアリーナクラスの会場でここまでのいい音を出せるのは、相当いいPAシステムを使ってからなんだろうな。

 この日、特に素晴らしかったのが中盤に続けて演奏された「Climbing Up The Wall」と「Exit Music」という2曲。これはCD以上にとにかくライブだと暗い。7曲目の「Climbing Up The Wall」ではベースのコリンがシンセベースを弾き、それが武道館全体に地響きを起こしていた。とにかくすごい重低音で、それに合わさるトムヨークの声は悲痛の叫び声にしか聞こえない。この曲の最後にはそのトムがギターの弦に叫びかけてその振動でギターを弾くという荒業を見せてくれた。

 それに続く「Exit Music」と共に、どんどんと観客をRadioheadの闇の世界へと導いていく。ふと顔を上げるとステージ横の黒い幕にトムヨークの影が映っていて、それが前後にゆらゆら揺れている。そしてジョニーのギターとは思えない切り裂くような鋭い、叫び声のような音。何がこのバンドにこんなにも暗い曲を歌わせているんだろう。でもこんな暗い曲で観客を放ってはおかないのがRadioheadのコンサート。必ずその後に今日の「No Surprises」のような今度は涙が出てくるようなきれいな曲が用意されている。まるで井戸の底からかすかに見える光のように、これはRadioheadにとって「希望」を意味するんだろうか。

 おとといのアンコールではライブではあんまり聞くことのできない曲をたくさん演奏してくれたので、今日は何が聞けるんだろうと期待していた。まず演奏されたのが「Like The Spinning Plates」。これはRadioheadには珍しく、というか初めてだろう、トム、ジョニー、コリンのトリオで演奏されていた。大阪初日でもこの武道館でも「この曲わかるかな?」とトムが言っていた曲。確かにトムがこの曲のタイトルを歌うまでは全く何の曲かはわからなかった。後で友達に聞いて驚いたんだけど、どうやらこの曲のCDバージョンは本来の曲を逆回転させてそれにボーカルを乗せたものらしい。要するにライブバージョンが「Like The Spinning Plates」という曲の本来の姿。

 次に演奏されたのはなんとシングルB面の「Pearly*」。これはめったにライブのセットリストに入ることのない曲で、この日初めてライブで聞いた。ほとんどライブではやっていないはずなのに、とにかく完璧な演奏だった。しかしRadioheadは常にセットリストに入る曲以外にどれだけライブ用の曲を用意しているんだろうか。7月のOxfordでの凱旋ライブでは3年以上も演奏していない「Creep」でさえ、ずっと歌いつづけてきた曲のように完璧な演奏を聞かせてくれた。

 2回目のアンコールではトムヨークが一人でステージに戻ってきた。これはバンド初期のポップな曲「Killer Cars」かな?? と思いきや、始まったのはレコーディングすらされたことのない「True Love Waits」!  この曲はRadioheadには珍しい普通のラブソングだそう。タイトルそのまま「本当の愛が待っている」とトムが透き通るような声とやさしくて同時に力強くもあるアコースティックギターで歌ってくれる。その姿に会場全体が静まり返り、僕の近くには目に涙を浮かべながらステージを見つめる女の子がいた。

 僕もRadioheadのライブ中には何度も何度も体中に鳥肌が立ち、本当に涙を流すこともある。毎日毎日セットリストを変え、曲順を変えてくるRadioheadのライブは何度見ても飽きることがない。そういえば、もともとRadioheadを初めてCDで聴いた時は全然好きになれなくて、ここまでこのバンドにはまるきっかけになったのもたまたまフェスティバルでRadioheadのライブ中に通りかかったときだった。Radioheadをライブを見て好きになる人が多いというのも、このバンドがファンの間では「ライブバンド」と言われている所以だろう。

 3年ぶりの日本ツアーはいよいよ最後の横浜公演2日間へと続く。

--- setlist ---

1. National Anthem
2. Hunting Bears
3. Morning Bell
4. Airbag
5. Knives Out
6. In Limbo
7. Climbing Up The Wall
8. Exit Music
9. No Surprises
10.Dollras And Cents
11.Paranoid Android
12.Street Spirit
13.I Might Be Wrong
14.Pyramid Song
15.My Irong Lung
16.Idioteque
17.Everything In Its Right Place

--- Encore ---

18.Like The Spnning Plates
19.Pearly*
20.You And Whose Army
21.How To Disappear

--- Encore 2---

22.True Love Waits
23.Lucky

Reported by Yohei Nogami.


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