farlove presents TWILIGHT WORLD(2001年9月30日)
 RECORD SHOP @ SPIRALのオリジナル・レーベルであるfarlove主催、“黄昏れ時”をテーマにしたライブ・イベントがCAYで行われた。その日は黄昏れ時と言うよりは、寒さと寂しさが身にしみる冷たい雨が時折激しく降りつける日曜日。イベントに登場したのは、この日だけのユニット、T.I.C.A. SOUND SYSTEMとfarlove大注目のグループ、PEPE CALIFORNIA。今回は、このPEPE CALIFORNIAなる魅惑のグループ目当てでイベントに行ってきた。

 PEPE CALIFORNIAは幼馴染み、KB(ギター)、MITCHO(パーカッション)、TOSHICAT(コンピューター{打ち込み}、シンセ)の3人組。音楽はインストもので、いわゆる、ナゴミ系という部類にも入るんだろうか。去年末にリリースしたアルバム「LLAMA」は、3〜4,000枚売れていて、インディーズとしてはなかなかの売れ行きじゃないだろうか。ロングセラーになっているらしい。この夏には、青山のインテリアショップ「イデー」がやっている辻堂のビーチカフェ「SPUTNIK」で、ペペ以外にも何組か無名のアーティストも参加したライブをやっている。わざわざペペを見に地方から足を運んでくれた子たちもいたらしい。試聴機で聴いてみたけれど、なんだろう、不思議な感覚、フンワリとした心地よさ。さて、ライブではどんな気分が味わえるんだろうか。私にとっては、初のインストもののライブ。新たな音楽の世界に踏み込む期待と、まったく想像もできないライブに対する不安との複雑な思いの中、CAY(未知なるミュージック・ワールド)への階段を降りた。

 CAYに入ったのは、ちょうどPEPE CALIFORNIAのライブが始まる寸前の20時ちょっと前。場内はそれほど広いスペースではないが、思いのほか多くの人で混みあった状態だった。ステージ前の幕にメンバーの影が映ると、人々は前へと詰め掛けた。おっ、意外とペペ人気者らしいぞ。幕が解かれたステージ上には、PEPE CALIFORNIAのメンバー3人のほかにドラム、ヴァイオリン、ベースの人もいた。曲は、1.Chunfa!、 2.CHAMP(Jリーグのテーマのカヴァー、アルバム未収録)、3.P.E.P.E、4.Frappe(新曲、アルバム未収録、ヴォーカリスト{ラッパー?}フィーチャー)、5.Meli-Fali。強烈に印象に残ったのが2曲目に演った“CHAMP”。ややラテン系の軽快なリズム。そう、Jリーグのテーマだった「オーレーオレオレオレー」の曲のカヴァーらしい。これ、ヴァイオリンの音色がとても気持ちいい。安らぎの音色。合間に入る「ペペ」の合いの手(?)、そして時折お経のように低く響く「カーリフォーニアー」の言葉があって、歌詞ではなくただ音程もなく発している言葉なんだけど、あれはあれでいいんだろうか?えーと、あれはなくても良かったんじゃない?なんて大きなお世話だけど。それまでリズミカルでサンバ風に熱い太陽を感じて楽しんでいたのに、その言葉が入るだけで、一気に曇ってしまったようで。ちょっとガックリ(ごめんなさい)。

 それにしても、ステージ上の人たちになんであそこまで笑顔がないんだろうね。こわばった顔して、黙々と演奏しているだけなんだけど、PEPE CALIFORNIAはライブ・バンドではないので、そこら辺は大目に見ましょう。そしてこれまた強烈だったのが、ラストの曲「Meli-Fali」。外人2人がステージに上がり、歌を歌うのかと思ったら、彼らのパートは口笛。それもキレイにハモってる。生の口笛の演奏って聴いたことあります?これが、のんびり散歩してる時の平和な感じがする。町の音も混じって聞こえてくるような雰囲気。曲自体も優しく柔らかで。こういう平和な気持ちになれるのが癒されてるっていうんだろうな。そして40分のライブは、あっという間に終わってしまった。というか、知らない内に終わってしまった。せめて、終わりの挨拶くらいしてくれたらよかったのに。なんとなく全体的に音がまとまっていないような気もしたけれど、打ち込みのものを生でやるっていうのは難しいんじゃないだろうか。なんて甘い採点で。

 インストというのは、表現するのにとても困る。ただ、一つとても感じたのは、歌詞がない分、言葉に邪魔されることなく、一つ一つの音、パーカッションだったり、ヴァイオリンだったりドラムの音が直に伝わってくる。そういえば横でずっと目をつぶって体を揺らしていた女の子がいたんだけど、その子を見て、彼らの音楽って自分のイマジネーションを働かせて聴くもののような気もした。目をつぶると、その音にあった自分の中の映像が色々思い浮かぶ。映画を観ているみたいにね。

 歌詞がないと人にメッセージが伝えられないのではないか。こんな愚問をしてしまった私に、ペペのメンバーのMITCHOが丁寧に答えてくれた。「人に何かを伝える、その「何か」はぺぺの場合「メッセージ」とか具体的なものではなく、「気分」のようなものだと思います。ペペの音楽、色んな「気分」を人と共有して、楽しい気分や、胸がスーっとなるような気分になってみたりするのはとても楽しい事です。逆に歌詞は僕らには具体的すぎて、音楽と結びつけるのが難しいです。時として歌詞は人に、とある気分を“押し付ける”可能性があるからです。」確かに、純粋に心地良い音楽だった。音に包まれているとでもいうんでしょうか。音に身を任せて自然と体が揺れるって、本当に気持ちいいものでしょ。

 会場の外に出ても、まだ雨は降っていた。冷たくて寒くて。でも、耳にあの口笛の音が残ってる。なんだか暖かくて弾んだ気分になる。ほー、後からジワジワ効いてくるんだな、ペペの音楽って。

Reported by Ali Maeda.


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