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---setlist---
1. BURN BABY BURN ---Encore.
17. LOSE CONTROL |
アイルランドのAshというバンドには個人的な思い入れが強い。何よりもまず、ボーカルのTimとベースのMarkは僕と同い年。彼らの出世作『1977』はその彼らと僕が生まれた年を表している。そして彼らがそのアルバムでメジャーデビューを果たした頃からずっと彼らの事を追いかけていた。Ashの作る曲にはストレートで純粋でキャッチーな曲が本当に多い。彼らの曲には数え切れないくらい何度も元気付けられ、聴くだけで幸せを感じ、そして歌詞のあまりの切なさに涙をすることもあった。 1998年のイギリスのGlastonbury Festivalでは急遽メインステージ最終日の大トリに決まり、10万人の客を前にして緊張のあまり、ボーカルのTimはバックステージで泣き出してしまったという。それ以前にも彼はステージに上がる前には常に極度の緊張に襲われ、デビュー当時のTimは女の子にすらまともに話すことができなかったという。そんなTimをフロントマンにしたAshが一回りも二回りも大きく成長して最新作『Free All Angel』と共に大復活を果たした。最近のイギリスではTravis、Coldplay、Starsailorなどの「涙で枕を濡らすロック(by Alan MacGee)」ばかりが注目されるようになってしまい、たくさんのブリットポップ全盛期時代のバンドが行方不明状態になってしまったが、そんな中でこのAshは彼らのスタイルを変えることなく「超ストレート泣き虫ロック」でUKチャートの一位を獲得してしまったのだ。 この大成長を果たしたAshの姿をついに見れる時がやってきた。この日のライブに向けて、久しぶりに昔のAshのCDをディスクマンに入れて電車の中で聴いていみたり、Ashが『1977』を発表した当時にイギリスで一緒に住んでいた友達に久しぶりに電話して思い出話に花を咲かせたりもした。9月13日のこの赤坂ブリッツ公演が本当に楽しみで仕方がなかった。実際はどうだったか。ライブ中はずっとスタンディング席の一番後ろでボーっと立っていた。こんなの楽しめるわけがないよ。このライブに行く直前までテレビで飛行機がツインタワーに激突する映像を何度も何度も見て、新聞では人がビルから逆さまに落ちていく写真を見ていたんだから。 でもあの日のライブから2ヶ月が経ち、今思うことはバンドメンバーも同じような気持ちだったんじゃないかな。Ashといえば同じアイルランド出身のU2と一緒にアイルランドや北アイルランドで今でも思っているテロ事件に反対して積極的に活動をしてきたバンド。そんなバンドだけに9月11日に起こったニューヨークでのテロ事件には大きなショックを受けただろうし、ましてや彼らはこの日本ツアーの後、飛行機に乗って13時間もかけてアイルランドへ帰らなくてはならない。怖かっただろうな。あの時のライブでは彼らなりのできること、やらなくてはならないことをやってくれたんだと思う。ライブ中、Timはこのテロ事件に関して一言も触れることはなかった。今思うと無理に一生懸命明るく振舞っていたようにも感じられる。 この日のライブは本当に素晴らしく、いかにAshがアーティストとしても人間としても大成長を果たしたのが伺えるライブだった、と今は思う。2ヶ月たった今でも鮮明に覚えている一曲がある。それはこの日のライブの後半に演奏されたWeezerのカバー「Only In Dreams」。この曲の最後の部分でTimとギターのCharlotteが抱き合うようにしてギターを弾き合う姿があった。この演奏の壮大さは凄まじかった。そしてこの曲の歌詞もそれ以上に印象に残っている。「夢の中でだけ僕たちにはその意味が分かる。」Timは「夢の中だけの話さ」とその曲の中で歌っていた。確かに今でもあの時の光景は夢の中での出来事だったのかなと思う時がある。どんどんと人々の心から薄らいでいって、いつかはあの日の出来事も何事もなかったかのように生活をする時がくるのかもしれない。だって僕達はテレビや新聞でしか見ていなかったんだから。でもそれじゃぁ駄目なんだよ。あの時の被害者の人達や僕達が感じた苦しみや悲しみを忘れずに行動していかないと。 報復だろうが何だろうが、同じ人殺しをすることは絶対に許されない。あの時実際に被害を受けていない全世界の人が心を痛めたのと同じように、今でも無事の家族や友人が殺されて悲しんでいる人達がアフガニスタンにいるんだから。アイルランドのテロに対して反対行動を起こしてきたAshのメンバーたちも同じことを感じているよ。あんなに涙が出るくらいに優しくて暖かい音楽を歌える人達なんだから。 Reported by yohei and photo by Marimi horimoto. |