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5年目にして念願の初フジ参加から20日あまり。今年もサマソニがやってきた。そして、
フジでパティ・スミスを絶対に見ると決めていたように、私がサマソニでぜひ見たかったバンド。それがカルトだ。1985年の『ラヴ』というアルバムが大好きだったが、その年の来日には行けずじまいで解散。もう生の彼らを見ることは叶わないと思っていた。だが、
長くロックを聴いてるとチャンスはやってくる。94年再結成復活の後、何とこのサマソニ出演で16年ぶりの来日が実現したのだ。しかも7年ぶりの新作というお土産つきである。 午後3時20分。「サンキュー、オオサカ!」とイアンの声が響き、ちょっとおどろおどろしい読経のようなリズムのイントロに続いては、新作からの"RISE"のギターが響きわたる。そのへヴィなリズムは今時のラウド系バンドと言っても通じそうだが、あの独特の突っ走るフレーズと甲高く伸びるイアンのヴォーカルが重なった瞬間、それは他の何者でもないカルトの音になる。 ほとんど帽子のようにグレーの布を目隠し寸前まで頭に巻いて、黒のTシャツに迷彩柄パンツ姿のイアン。その声は思った以上に力強い。1962年生まれだから今年39歳、がんばるねえ。さすがにちょっと貫禄もついたか? そして、"PEACE DOG"はまるでフリーのポール・ロジャースが歌ってもおかしくない王道ロックだ。去年のリーフもそうだけど、夏フェスって案外王道ものがハマる気がする。 この日のステージは、折からの台風接近による強風で、足元の砂もゴミもあっという間に天高く舞い上がる。砂嵐がステージに向かって吹きつけたかと思うと、こちらがステージをまともに見ていられない瞬間も。そんな中でもメゲずに「オオサカ、イチバン!」「サイコ〜!」と日本語連発で煽りまくるイアン。もっと恐そうなイメージがあったが、こんなに懸命にコミュニケートしてくれるなんて意外ながらもうれしい。 そして、ベースがビンビンに響くイントロの"THE WITCH"など挿んで、ついにイアンがゆっくりと口にした曲の名前。"SHE SELLS SANCTUARY"――。やった! まさしくカルト「キメの1曲」だ。なのにまわりを見ると反応がイマイチ寂しい。やはり若いファンが多いのだろうか。それでもバンザイ・コールで皆を盛り上げた後、あのギターのイントロが始まると、もうそんなのどうでもいい。ひたすらに突っ走りたくなるようなフレーズに叫びまくる。 「ヘイ! マリリン・マンソン、イチバン??」 突然イアンが叫び出すので、何?と思いきや、「スリップノット、イチバン?」「ノー!」「ザ・カルト、イチバ〜ン!!」というわけ。若い奴が何を目当てに来てるのかもよく知っている。確かにこの後同じステージに立つ今時のへヴィな連中の人気には及ばない。だが、再結成後ただの同窓会や、懐メロ大会に落ちるバンドが多い中、少なくともカルトは違う。16年の時間を超えてそれを立証できるって、すごいことだよ。 さらにラスト、"LOVE REMOVAL MACHINE" では、ステージから一段下の足場ではなく、客席のグラウンドまで降りてきたイアン。何と、最前左端にいた私のすぐ目の前を駆け抜けていくではないか。決して大きな男ではなかったが、U2のボノがこの間の来日の時にドームで見せた熱血ぶりにもダブって、その瞬間、もう泣きそうになってしまった。 実は「やっぱり年取った」バンドになってないかとか、あれだけ全てが巨大で強烈だったフジの後だけに色褪せて見えないかなんて心配もあったのが、まったくの杞憂だった。そんなこと以前に自分はあの音が大好きなのだ。再認識した今は、また「サマソニ・リター ン」組のとしての単独来日を心から願っている。 - set list -
1.RISE Reported by 小谷育代 無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to Ikuyo Kotani. They may not be reproduced in any form whatsoever. To The Top. |