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クラプトンを筆頭に、およそアーティストたるもの「アンプラグド」に走ると、妙に落ち着いて、面白くなくなるのが相場である。去年9月のライヴは予想外に燃え、充実ぶりを見せつけてくれたウェラー兄貴なのに、1年も経たないうちに昔の曲も交えての「アコギ・セット」だなんて。だいじょうぶだろうか? と、少々複雑な想いで会場入り。ま、アコギなら危なくはないだろうと前方に割り込んだものの、あっという間に背の高いお兄さんの壁に挟まれてしまった。さらに兄貴登場とともに、強烈に押されて「ぺちゃんこ酸欠状態」に。何とか顔を上げ、隙間から見た彼は、 日焼けして少し赤い肌に真っ白なシャツとブルージーンズ。胸元にはシルバーのネックレスが揺れている。ほんとにいつも地味だよなあ。 オープニングは"ABOVE THE CLOUDS"。「B面曲だけど…」と始まった"THE LOVED"の後は、新曲だったろうか? 『スタンリー・ロード』の中でもベース・ラインが効いてノリノリの"OUT OF THE SINKING"も、意外にもギター1本のカッティングだけでバッチリ決まる。静かに始まった"CLUES"でも、次第に盛り上がり、思いきりギターをかき鳴らしての熱演に大喝采だ。モッズやソウルを根っこに持つ音以上に、メリハリある歌声が骨太な彼だが、今夜は一人で剥き出しになった分、そのエネルギーもひしひしと感じる。かと思うと曲間のコメントは、ワイン・グラス片手にとても穏やかだ。 「とても古い曲。知ってる人もいるかな」とやってくれたのはジャム時代の"ENGLISH ROSE"。ジャムをやるとは聞いていたけど、これは渋い。去年はピアノに向かってじっくり歌い上げていた"BACK IN THE FIRE"から、さらに沁みる"YOU DO SOMETHING TO ME"へ。そして、ジャカジャン!なギターにさらに手拍子と大合唱なのは、"THAT'S ENTERTAINMENT"。もちろんこれもジャムの名曲だ。熱い反応にすっかりゴキゲンの兄貴、「何かリクエストある?」なんて言いつつ、「スタカン・フリークに捧げるよ」と、とどめの"HEADSTART FOR HAPPINESS"を。客席からの熱い手拍子に見送られて"WILD WOOD"でいったん終了。 そしてラスト"TOWN CALLED MALICE"にどれほどの歓声が沸き起こったことか! ジャム時代の彼らを原体験しつつも、ライヴを見れなかった世代としては、二十数年経ってこんな風に聴けるなんてやっぱり感激だ。これが「悪意という名の街」という邦題で新譜シングルに紹介されていた頃をしっかり覚えているもんね。♪パッパッパッパッパラッパ〜、 パッパッパラッパ〜♪ みな大声で歌いながらモッシュも最高潮。その後客電がつき、終了のアナウンスの中、スタッフが片付けるからといくら追い出しにかかっても、兄貴を呼ぶ声は止まなかった。 過去の名曲大サービス?なセットは正直心配だったが、きっとそれはネガティヴでも何でもないのだ。確かにバンドやソロを経て活動を長く続けて行く上で、過去を封印して前進するのは必要不可欠だと思う。だが、今の彼は、もはやどの時代のどんな曲もしっかりと自分の骨や血肉になっている事を確信しているに違いない。アコギ1本でもバンドでも、 骨太ロックでもアンプラグドに走っても。いつもそこにいるのはただ一人。もう表現の形式や名義の枠など超えてしまった「ポール・ウェラー」そのものなのだ。 - SET LIST -
1.ABOVE THE CLOUDS -encore-
18.BUTTERFLY COLLECTORS Reported by 小谷育代. 無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to 小谷育代. They may not be reproduced in any form whatsoever. To The Top. |