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Museの前座をやるバンドはいつも何だかすごいことになる。1年前、Coldplayはまだ新人群で、やっとYellowがチャートインした、といったところだった。そしてVoのクリスはそれを本当に嬉しそうに、今、チャート10位内に入ったYellow,と誇らしげに曲紹介していた。そしてその前前座として登場していたのがMy Vitriolだった。何だかやけにVoがカートコバーンチックでベースが女のコ、ってところがスマパンだな、というイメージしかなかった。そしてギターを宙に投げすげたのが印象的で、それから毎回見るごとに、ギター壊さないかな、と期待してしまうようになった。 そして今回Museのサポートを務めたのが、Cooper Temple Clause。このバンドはColdplayやMy vitriolのようにじょじょに受け入れられていくタイプ、というのではない。そのバンドと音を目の当たりにしてどぎもを抜かれてしまう、衝撃がある。とにかくNext Big Thingであることは確かで、この壮大なサウンドはMuseが作った宇宙の世界のようにばかでかくなっていくと思う。まだ1stシングルしかだしてない本当の新人だよ。19から22のガキバンドだよ。なのになんであんなにただっぴろいBrixton Academyのステージが似合ってしまうんだろう。それはバカでかい音量と6人のクレイジーなほどのエネルギーが新人用の小さなハコでは納まりきれないからだろう。 Voだけ見たらどこの日本のVisual系だろう?と思ってしまう。細いからだに赤い髪。そんな彼から出される声はどこのVisual系のへらへら声でもなく、リアムギャラガーのようにしんの通った図太い声だ。1フレーズ、1フレーズを腹の底から張り上げる。タンバリン一つ打つにしても思い切り地面に叩きつける。(最後にはそのタンバリンをついに叩き割ってしまった。)ヴォーカルラインはVerveを彷彿させる。胸をつくフレーズが一曲の中でいくつも生まれていく。それなのにギターバンドにならない要因は両脇の袖で固めるレデイへジョニー群。このバンドにはジョニーグリーンウッドが2人いるといってよい。ステージ左にはエレピを顔すれすれに近づけながら頭を振りつづける鍵盤ジョニー。右手にはサンプラーを狂ったようにいじりまくるサンプラージョニー。本物ジョニーがよくライブでやっている過剰なサンプラーいじりにこれまた一層輪をかぶせた過剰さ。そこに客ひとりひとりの体にズンズン振動するベース。本当に響くんだ。時にはベースが歌うし、かと思ったらマンチェベースのように地のついたベース、そしてPlacebo、Ashのような踊るベースも登場する。だから... Verveのヴォーカルラインがエッジの効いたギターサウンドとJazzyでミステリアスなエレピ、過剰なサンプラー攻撃、マンチェ&Placeboベース、ダンスビートなドラムに乗っかって、なぜかその科学反応がうまくいって、とんでもなく想像不可能でトリップなサウンドが生まれてしまった、といった感じだ。 特に印象に残った2曲目。(タイトルはわからないのだが)Kid Aの中のエレピのようにミステリアスなエレピサウンド。そこにかぶさったどこにいくのか見当もつかないMelody line。彼らに照らされた紫の証明がそのままぴったりくるような、そんな曲。まるで真っ暗な砂漠に一人残されたような。1st EPに収録されたThe Devils In The Sand。イントロはPlaceboのPure Morningバリで、これから何か起きるぞ、という予感を感じさせてくれる。まさにその通りで、曲調はコロコロ変わり、中盤では乾いたRolling Stonesになったりもしてしまう。最新EPに収録されるPanzer Attackは歌うベースから始まり、そこからただ勢いだけで攻めてくる。いつの間にかサンプラージョニーはマイクを持って叫んでいるし、ギターはシンセをいじりはじめている。 Muse UKツアーのサポート、という重い任務を終えた瞬間、サンプラージョニーはベースに飛びかかり、一瞬、ケンカ?と思ってしまった。いや、その取っ組み合いは若いやつらによる最大の喜び表現だったわけで... なんかたぶんKid Aが勢いという装置をつけてアップテンポになったらこんなサウンドになるんだろう。もし10代のRadioheadがKid Aを作ったら... って普通こんな若いバンドに作れないよ、こんなサウンド。どうやってこの若バンド、こんなにたくさんの音楽の要素、そしてカラーの多様さを身につけるのに成功したんだろう。不思議でたまらない。
Reported by Eri Takahashi. 無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to Eri Takahashi. They may not be reproduced in any form whatsoever. To The Top. |