Radiohead
at at Theatre Antique, Vaison La Romaine, France(2001年5月28日)
 

 

 

 

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 南仏の小さな村、Vaison La Romaine。約一年前、約1年半ぶりにライブアリーナに復帰したRadioheadのヨーロッパ古代遺跡ツアーの二日目。この日、僕は旅の疲れを癒すため、少しホテルで昼寝をしていた。ところが突然の雷の音で目が覚めた。さっきまでの肌に突き刺さるような日差しの南仏らしい天気は一転し、激しい雨。心配になり外に出て見ると、Radioheadファンらしき若者達が足早にライブ会場とは反対方向にやりきれない表情で走っていた。その一人に聞いて見ると、その日のライブはキャンセル。突然の雨で機材が濡れてしまったらしい。

 あれから約一年、Radioheadがこのプロバンスの小さな村に帰ってきた。2001年小ヨーロッパツアーの一環として、再度この村にある古代劇場をライブ会場に選んだのだ。

 まだ日が落ちきっていない21時30分、定刻通りにRadioheadのメンバーが登場。客の間からは「Thank you for coming back!」という声まで聞こえる。その声援にメンバーも笑顔で答え、ベースのColinは思いっきり観客に手を振っている。この会場でついにライブが出来たの事がメンバーも本当にうれしいんだろう。1曲目はそのColinの激しいベースが印象的な"National Anthem"。いきなり小さなアリーナでは飛びまわる客やモッシュが起こっている。

 『Amnesiac』からの曲はほとんどが去年のヨーロッパツアーで演奏された曲だったが、唯一この日に初めてライブバージョンを聞いたのがアルバムの1曲目、"Packt Like Sardines in a Crushed Tin Box"。これがこれからのRadioheadの方向性を裏付けるようなアレンジがされていた。アルバムだとどちらかと言えばKid Aの1曲目の"Everything〜"と同じようなフェードイン的な曲だが、ライブでは全く原型を留めていないと言ってもおかしくないくらい激しいロックナンバーに変身していた。まるで蜂の羽の音のようなディストーションのきいたColinのベースに続くのは力強いThomのボーカルとPhilのひたすら同じビートを刻むテクノのようなドラミング。

 個人的にすばらしい演奏力に圧倒させられたのが"Dollars And Cents"。サイレンのように会場に鳴り響くJohnnyのギターと危機感溢れるThomのボーカルとタンバリン。そして徐々に激しくなっていくドラムとベース。この日のライブを見る限り、ロックの終わりのように扱われている『Kid A』と『Amnesia』c、ライブで演奏されるとどの曲も「ロック」なのだ。最近のインタビューによると、メンバーはギターロックが最近「恋しい」とコメントしている。現在行われているアメリカツアーで初披露された新曲"Reckoner"という曲もまさにギターロックだった。

 本編の最後から2曲目に演奏された"Idioteque"。これは前回のヨーロッパ古代劇場ツアーでは唯一Kid Aから演奏されなかった曲。この曲でこの日のライブは頂点に達した。途中から入ってくるパーカッションとそれと同時に狂うThomのボーカル。客の間からは悲鳴まで聞こえてくるほどの盛り上がりで、その後、Thomはステージ上で踊り狂い、飛び跳ね、思いっきり自分のバンドの演奏を楽しんでした。

 アンコールに演奏された"How To Disappear〜"。この曲の演奏中、ふと空を見上げると三日月の回りに同じような三日月形の雲がかかっていて、それがこの曲の幻想的な雰囲気を一層盛り上げてくれた。

 そして最後はまさかの"The Bends"。この曲をライブで聴くのは何年ぶりだろう。前奏のギターが入った瞬間、思わず両手を上げてバンザイをし、そのまま思わずアリーナの最前のほうへ飛び出していってしまった。

 終演後、半ば放心状態のまま会場を後にした。ホテルに帰る途中のオープンカフェはRadioheadファンでいっぱいだった。その会話に耳を傾けるといろいろな言語が聞こえてくる。フランス語はもちろんのこと、イギリス英語、ドイツ語、スペイン語。そういえば会場で後ろに座っていた二人組はアメリカ英語を話していた。世界中からこの南仏の小さな村にRadioheadを見にこれだけのファンが集まってきたのだ。

 『Amnesiac』は世界中でアルバムチャートの1位を獲得し、コンサートのチケットはどこでも一桁分で完売になってしまう。コマーシャルを嫌い、大きい会場でライブをする事を嫌うバンドがなぜここまで大きくなってしまったんだろう。その答えはこのライブにあるような気がする。ぜひこのロックバンドのライブを出来るだけ多くの人に体験してほしい。この日のライブを見て心からそう思った。

 

--- Setlist ---

The National Anthem
Morning Bell
Lucky
My Iron Lung
In Limbo
Packt Like Sardines in a Crushed Tin Box
Bones
Bulletproof
No Surprises
Dollars and Cents
I Might Be Wrong
Airbag
Pyramid Song
Karma Police
You and Whose Army?
Paranoid Android
Idioteque
Everything In Its Right Place

--- Encore 1: ---

Knives Out
Climbing Up the Walls
Street Spirit
How to Disappear Completely
--- Encore 2: ---

Talk Show Host
The Bends
Reported by Yohei



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