ミッシェルガン・エレファント
at 国立代々木競技場 オリンピックプラザ(2001年5月23日)
 原宿駅を降りて、代々木の体育館に近付く。どこが最後尾なのか分からない行列がずっとつながっている。雨だというのに、この人の多さ。ミッシェルガン・エレファントの新しいアルバム『RODEO TANDEM BEAT SPECTER』の発売に合わせ、代々木でフリーライヴを行うというのでこれだけの人数が集まって来たのだ。当然レインコート姿が多いけれども、学校帰りの制服姿やスーツ着た会社帰りと思われる格好も結構いた。

 ライヴの会場は、春風や葉族などでよく使われる野外ステージでなく、その隣の敷地であった。ここは去年オービタルのフリーパーティがおこなわれたところ、または、サーカスの「サルティンバンコ」のテントがあったところである。

 あまりにも行列が長いため、当初は敷地内で観ることを断念。柵の外で観ることにすると、偶然知り合いがいて驚く。お互いの近況を話して時間をつぶす。ステージ前は既に人で埋めつくされ、客入れのBGMではメンバーがDJをするときにかけそうな、ロックンロール、ロカビリー、パンク、パブロックなどが流れ、トム・ウェイツやドアーズもかかった。雨は降り止まず、来ている人達の期待も段々高まっていく。柵の外も人が集まり、かなりの人が花壇に登る。その人達に警備の人が何度も注意を与え、ついには中に入れるようにする、とアナウンスする。せっかくなので自分たちも中に入る。

 正面からステージを見ると、先程まではテントが機材を覆っていたが、取り払われて、ステージに屋根がない状態に。演奏中は雨に直撃されるのだ。雨曝しなら濡れるがいいさ。機材は痛まないのだろうか。17時50分頃、ついに映画『ゴッド・ファーザー』のサントラからの曲が鳴り響きメンバーが登場する。いつも通りのスーツ姿である。そして先行シングル「ベイビー・スターダスト」「暴かれた世界」を含むニューアルバムの曲順通りに演奏される。チベタンの時のヒットパレードは一区切りつけるものだったのかな、と思えてくる。

 途中、モッシュ・ピットで怪我人が出た模様で、演奏を中断する。チバが「倒れているやついたら助けてあげて」というMCをする。演奏を再開すると、モッシュピットから湯気が上がり、モッシュピットの外から観ると、ライトに照らされ、ドライアイスを使った演出のようでなかなかいい感じ。と言ってもモッシュピット内ではライヴ後に女の子が潰されたとか、傘を投げる者がいたという話が出てマナーは良くなかったみたいである。

 この雨の中で、おそらく楽器を持つ手が滑ったり、電気系統が調子が悪くなったりするという悪条件にもかかわらず、彼らはテンション高い演奏を聴かせてくれた。演奏はちょうど一時間くらい。アンコールは「ジェニー」。新作以外からの曲はこれだけで、会場の盛り上がりも最高潮だった。

 まず、こんな最悪のコンディションのなかで、これだけのテンションで演奏する彼らは凄いと思う。が、例えば98年のフジロックの時みたいにこれから何が起きるのだろう、彼らはどこへ行くのだろう、という未知への不安と期待が交錯する場所から遠く離れてきたのかも知れないという気がした。この日はかなりの盛り上がりだったけれども、既に出来上がったものを確認する作業のように感じたのも事実である。新曲ばかり演奏されても、それはどこか見たことあるような光景に映った。そして今のミッシェルには危うさよりも安定し、貫禄という言葉がよく似合うのだ。

Reported by ノブユキ.


無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to ノブユキ. They may not be reproduced in any form whatsoever.
To The Top.