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開き直ったオイディプス。最近のSMを見ていてそう思う。Pavementを葬って以来、インディキング禁断の欲望も解禁と言う訳か、セルフタイトルのソロアルバムに始まり、ポルノ雑誌からLate Showまで至る所で宣伝活動、ついでに元同僚のこきおろし、私生活の暴露、ポット、下ネタ…「歌う時以外は黙ってろ」とファンも怒る程。 しかしそこはMalkmus、開き直りもステージ上では功を奏し生きのいい所を見せている。別人のように生気溢れるSMの姿は、Jicksショウを見た誰もが認める所。2月のパリショウでも場数の少なさを補う勢いを見せてくれた。今回はUSツアーをこなして戻ってきた彼等、よりタイトなショウが期待出来そうだ。 セットは前回同様Black Bookからスタート。ギター係りのAndyがタンブリンで参加し、照れた顔でドラムのJohnに目配せしながらリズムを取っている。仲良く、楽しく、元気良く。新Malk&Coの典型的な光景だ。見方によっては内輪のじゃれ合いだが、Pave後年のテンションを思えば新鮮。それに何と言ってもSMに生気がある。初っ端から存分にソロを弾き、ギターゴッドを見せ付けるSM。Pave時代に抑えられていたギターへの執着心が一気に解放されたみたいだ。 このSMの復調の裏には色々あるだろうが、ステージ上に限って言えばJohnの貢献度大。SM恒例ドラマージョークを封じ込めた「叩ける」ドラマーJohn。彼がSMの信頼を得ているのは明らかで、間合いに2人でジョークを言い合ったり、演奏中に掛け合ったり。彼等 の呼吸加減がJicksショウのムードを保つ鍵と言ってもいい。それが最も良く現れていたのがJo Jo's JacketとTroubbble。SMのリードにJohnが応え、その勢いのまま貫き通す。Pavementとは違った遊び心だ。前回これらの曲でちょっと弱いな、と思わせたJoAnneのベースも、今回はずっとタイトでノリが良い。オーディエンスの反応もこの2曲が抜群。 一転してじっくり聴かせてくれるのがカバー曲。今回はFly (JK &Co)とLodi(CCR)だ。特筆すべきはFly。「飛びたいのなら心配しないで、僕に全部任せて」なんてバラードを、あのSMが臆面も無く歌い上げるのだから、人間変るものである。Lodi(CCR)ではJicksのバックヴォーカルと共に、Fogerty調のちょっとこぶしの入った歌いっぷり。アンチ正統派ボーカルのSMが、まともに歌うというだけでも一聴の価値ありだ。 この夜のハイライトになったのはChurch on White。「これはパリの美術館が好きだった友達(99年にOD で亡くなった作家のRobert Bingham)に捧げた曲」と、感傷的な声音で紹介。SMが書いた中でも最も感情的な曲の一つだが、特に今夜のSMは表現が素直だ。イントロのギターソロも宛ら、所々かすれる声にもこのエレジーの物悲しさがストレート表れている。SMの意外にロマンティストな側面だけでなく、Pavementのシニシズムから一歩踏み出した心境を見せてくれた。 Pavementが良くも悪くもメンバーの対等関係から出来ていたとすれば、JicksはSMの完全主導型。抑えるものが無くなって、のびのびと、まるで人生最良の年を楽しんでいるように見えたSM。Jicksショウの魅力もここにある。やってる方が楽しそうなら客も楽しい。Pavementは(しばらく)忘れてJicksショウを存分に味わった方が良さそうだ。何せこんなに幸せそうなSMを見る機会は滅多に無い。「最良」の年は一回きりなのだし… Reported by NM. 無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to NM. They may not be reproduced in any form whatsoever. To The Top. |