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ホールに入ってステージを見た瞬間、不意にストーンズの来日セットを思い出した。照明塔と非常階段が合体したような鉄筋のステージ・セットやモニター、それに中央の花道でつながるセンター・ステージ。場内は、寒さにもめげず半ズボンのアンガス・ルックや、赤くチカチカ光る角をつけたファンで埋まっている。そう言えばBGMもストーンズ・オンパレードだ。 実を言うと、私は今回の来日の異様なまでの盛り上がりがどうもピンと来なかった。私のAC/DC体験は『バック・イン・ブラック』あたりで止まっている。前回1982年6月の来日はジャーニーやレインボー他のライヴでAC/DCまで手が回らなかった。それから19年。今度は見逃すわけにはいかない。 定刻を過ぎ、"SATISFACTION"の合唱が起きていたところでMC。「エイ、シー、ディー、シィ〜〜!」と、皆で思いっきり叫んでお迎えだ。ブライアンが煽りまくりで、のっけから大合唱は"YOU SHOOK ME ALL NIGHT LONG"。ああ、何と健全なロックン・ロールだろう。最新作の"STIFF UPPER LIP"でも、大合唱の"THUNDERSTRUCK"でも、ずっと彼らを聴いていなかった違和感なんてまるでない。 ステージでは巨大アンガス像が登場し、口から煙を吐き、目が光る! 一方、実物アンガスはめちゃめちゃ元気に走り回っている。頭振り振り、汗を飛ばして弾きまくり、加えて"BAD BOY BOOGIE"のストリップでは、「日の丸パンツ」も披露。昔は生のお尻見せてたのになあ。でも、今回は巨大アンガスも回転して、同じようにお尻を向けたら、ちゃんと日の丸の旗が貼ってあって大笑い。やがて、ホール天井に吊るされていた鐘がステージに降りてきたかと思うと、ブライアンがそのロープに飛び移る。重い鐘の音が響く"HELLS BELLS"。一気に1980年にタイム・スリップだ。当時これを急死したヴォーカリスト、ボン・スコットへの弔いの音だと思って聴いていたファンは、今夜どのぐらいいるのだろう。 思いきりブルージーな"THE JACK"から "BACK IN BLACK"そして、火柱の熱さに思わず身を引いた"HIGHWAY TO HELL"と続いて、昔の名曲連発モードのとどめは"WHOLE LOTTA ROSIE"。おお、まさかこれまで生で聴けるとは。しかも皆のアンガス・コールもぬかりなし。これぞ私のAC/DC初体験曲なのだ。ステージでは巨大バルーンで出来たお姉さんがふわふわ揺れる。そしてセンター・ステージでアンガス大熱演の"LET THERE BE ROCK"でいったん終了。 続くアンコール、"T.N.T"ではステージ右手に行ったアンガスがたちまち塔を上っていく。あれは照明塔でも、非常階段でもなく、エレベーターになっていたのだ。一方、ステージには6台の大砲が登場。ラスト"FOR THOSE ABOUT TO ROCK"のみんなの掛け声に併せてドッカン祝砲の大サービス! そしてとどめは客席一杯に舞う黄色い紙吹雪。うわあ、この興奮、ストーンズ来日を思い出すよ。客電が灯ってもしばらく呆然。紙吹雪を記念にポケットに押し込み、やっとのことで立ち上がった。 自分とAC/DCの20年近い空白の中で、今まで変わることなく続いていた彼らのロック。そして当時には思いもよらなかったド迫力のショウ。時間を超えてようやくその両方を体感できたのだ。それが何ともうれしい一夜だった。ヘイ、アンガス! 20年も半ズボンで走りっぱなしのあなただけど、やっと追いついたよ。 - SET LIST -
1.YOU SHOOK ME ALL NIGHT LONG - ENCORE -
19.T.N.T.
Reported by 小谷育代. 無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to 小谷育代. They may not be reproduced in any form whatsoever. To The Top. |