Black List(ピールアウト/AIR/スネイル・ランプ)
at Zepp Tokyo(2001年2月18日)
 お台場にはいろんな行き方があるけれども、この日は東京駅からバスで行ってみた。ゆりかもめで行くのが一般的なんだろうけれども、時間に余裕があったらバスで行くことをお勧めする。浜松町からも出ているし(但しレインボーブリッジが渋滞していることがよくある)。のんびりとバスに揺られて窓から眺める日が傾きかけたお台場もなかなか風情があるんじゃないかと思う。20世紀の人たちが夢想していた輝かしい未来の光景と、実際にはこんなものしか出来なかったという落胆感が両立するモニュメントが多数あるワンダーランドという感じで。道理で夕日がよく似合うわけだ。まあ、いつの時代でも、世界のどこでも新しくて人工的なものはそれを嫌う人がいるわけで(例えば、パリのエッフェル塔なんかは、出来た当初はパリ市民に猛烈に嫌われた)。

 会場の隣のトヨタのショールームで時間を潰してから会場へ。トヨタのショールームっていつも「そこそこ楽しい」ので暇つぶしにはもってこいである。その「そこそこ楽しい」ところがトヨタ的というか。

 さて、何度か書いていることだけども、ZEPP TOKYOの最大の欠陥はエレクトリック・ギターの音が悪く響くことで、ヴォーカルも声質や声量によっては、その残響に埋もれてしまい、いつもイライラしてしまう。今まで観た中で音響が気にならなかったのは電気グルーヴくらいである。まあ、ギターを使わない人たちだから当然か。ホント、音響はどうにかしてもらいたいものだ。

 会場に入ると、しばらくDJ ISHIKAWAがルースターズなどを回していた。まずは一番手のピールアウトが登場する。この日はピールアウト目当てでないお客さんを相手にしなければならず、彼らがどのように演奏するかという興味があったけれども、ふだんと変わらなくシンプルでハードなロックンロールを聴かせてくれた。原曲を上回る熱量が込められたREMのカヴァー「IT'S THE END OF THE WORLD」(但し日本語詞)や最近あまりやらない、ゆったりとしてスケールの大きいナンバー「LUCKY STAR」もやってくれた。いつものように途中からピアノ・トリオとなり、近藤が鍵盤を打楽器のように叩きまくり、最後はベン・フォールズというかジェリー・リー・ルイスのように足まで使って音の塊を叩きつける。特に「PIANOMAN R&R SHAKE,SHAKE,SHAKES」から「BEAT FOR YOUR RIGHT」のメドレーは圧巻だった。会場の反応も良く、初めてのお客さんも盛り上げることが出来たと思う。

セットリスト

1.心臓が動き出すとき
2.IT'S THE END OF THE WORLD(REMのカヴァー)
3.QUEST
4.LUCKY STAR
5.HEIDI
6.PIANOMAN R&R SHAKE,SHAKE,SHAKES
7.〜BEAT FOR YOUR RIGHT
8.爆裂世界

 次に登場したのがAIR。去年のフジロックでレッド・マーキーの3日目のトリ(詳しくはここを参照)(バンドとしての)を堂々務めた3ピースのバンドでレイジ・アゲンスト・ザ・マシーンのようなヘヴィさを追求している。途中ジャズぽいスイング感のある曲を2曲ほど演奏して、それが各プレイヤーの演奏能力の高さを示すと共に箸休め的ないいアクセントになっていた。キャッチーでスピード感のある「KIDS ARE ALRIGHT」からリーダー&ヴォーカル&ギターの車谷の政治的な姿勢が明快に出ている「Liberal」までの3曲がこの日の会場の一番の盛り上がりとなった。

 このバンドに対しては様々な意見があるだろう。この日初めて彼らのライヴを観た自分にも容易に元ネタが分かってしまう(洋楽だけでなく、ミッシェルガン・エレファントの「キャンディ・ハウス」にも似ている個所があった)。このあたりをパクりと糾弾する洋楽マニアがいるけれども、ヒップホップのアーティストが自分の言いたいことを既存の音楽を効果的にサンプリングという形で引用し伝えているように、彼らは過去の音楽を引用して自分の主張を述べることを古典的なバンド形式でやっているに過ぎない。ギターを使うかサンプラーを使うかの違いである。彼らの出す音が過去の何かに似てようとも、高いポジションでギターを抱えた車谷が繰り出すヘヴィなリフ、それを支えるリズム隊がこのライヴ会場で作り出す熱気は凄まじいものがある。彼らは音を効果的に組み立て会場を引っ張っていく職人といえよう。

セットリスト

1.EVERYTHING, OR EVERYONE AND EVERYTHING, OR PEACE
2.My Pride
3.No More Dolly
4.運命はいくつもある
5.24 YEARS OLD
6.ME,WE.
7.KISS ME AGAIN
8.KIDS ARE ALRIGHT
9.Rush and Rush
10.Liberal

 最後がスネイル・ランプ。この日に出たバンドの中では一番売れているが、前の2バンドに比べると演奏は明らかに下手である。だけども遊び心というか、自分たちも楽しくてしょうがない様子が素直に伝わってくる。それが暴走過ぎて時に笑えもしないブラックジョークをこの日のMCで言ったりするのが玉に傷であるが(このことに関しては彼らのオフィシャルのBBSで論争が起きてます。筆者としては本人たちも反省しているようなので、もういいと思うが)。

 スネイルにはめちゃめちゃ親しみやすい歌メロがあってそれが魅力なのだ。その敷居の低さが好き嫌いになるのだろう。おそらくKemuriとファン層がかぶるのだが(kemuriのオフィシャルからスネイル・ランプのオフィシャルへリンク貼ってある)、それぞれのバンドのボーカリストを照らしあえば一目瞭然なのだがkemuriのフミオの声の深みが子供声ぽいスネイルの竹村には無い。つまり、kemuriにある奥行きがスネイルには無いように感じるのである。どちらが良いとか悪いというのは別として、スカコアをお茶の間レベルまで広めたのがスネイルで精神的な部分を担っているのがkemuriでないかと感じた。

 ところで、セットチェンジのたびに外国人のストリッパーが3人出てきて踊るという演出があった。自分も姐ちゃんの姿を観るのは好きだし、ストイックになるつもりもない。ストリッパーの踊り自体はなかなか面白かったけれども、なぜストリッパーなのか根本的なところが疑問だ。ともあれ、ストレートで音を叩きつけるピールアウト、ハードでヘヴィな熱気を作り出すのだけどもきちんとした計算も備わっているAIR、親しみやすく遊び心満載のスネイル・ランプという3つのバンドの個性を楽しめたイベントであった。

Reported by ノブユキ.


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