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ボブ・ディランの息子、ジェイコブ・ディラン率いるバンド――。ずっとそう呼ばれるのはイヤだったに違いない。インタビュー嫌いで親父さんの話は絶対厳禁だとか、とかくジェイコブには気難しい奴なイメージがあった。だが、ひとたびその歌に触れれば、いつのまにか口ずさんでいる。そう、彼らの歌は説明に困ってしまうほどオーソドックスなアメリカン・ロックでありながら、どれも私にとっては親父さんよりずっと心にしみる曲ばかりだ。そして、それを一緒に歌える日がようやくやって来た。 7時をまわったかと思うとすぐにメンバー登場。オープニング "SLEEPWALKER"から"SOME FLOWERS BLOOM DEAD" と最新作『BREACH』の中でも特に好きなナンバー2連発にすっかり舞い上がる。そして、初めて見るジェイコブの姿にそこらじゅうから「かわいい!」の声が。なるほど、親父さんゆずりの渋い声で伏し目がちに歌う彼だが、合間に見せる笑顔は何ともキュートだ。「気難しいディラン息子」のイメージはみごとに吹っ飛ぶ。 続く3曲目に早くも大好きな"6TH AVENUE HEARTACHE"が。これを聴きたかったのよとウルウルしつつ思いきり大声で歌った後、よく見るとギターの弦が切れている。勢いあまっての大熱演だったのだ。アコースティック・ギターに持ち替えての"I'VE BEEN DELIVERED" では、歌詞を度忘れして頭を抱えるも、そんなしぐさがまたかわいい!とばかりにファンの歓声が上がり、それに乗って無事完奏。裏"SWEET JANE"なナンバー、"THREE MARLENAS"も、生だとやっぱりルー・リードが重なってニンマリさせてくれる。さらに、「あそこにライトがあるよ」とジェイコブがスキンヘッドのギタリスト、マイケルを指して"ONE HEADLIGHT"をやってくれた時にはもう大笑いだった。 「どこから来たの?」というファンとのやりとりにペンシルバニアだの、フロリダだのと外人客が盛り上がった後は、私達も負けずに“OSAKA!”と叫ぶ。「イエス、オーサカ!どこからでもとにかく来てくれてありがとう。」と始まったのは"THE DIFFERENCE"。国や人種、何が違っても、ここに彼らの歌を聴きに来たのは、みな同じなのだ。そんな想いで本編の締めもバッチリだった。 アンコールは“ヘッドライト”マイケルがヴォーカル、そしてグレッグ、マリオの3人だけで何とブラーのナンバー"SONG 2"を熱演。ジェイコブも加わって「今日はバレンタイン・デイでおまけに誕生日の男がいるんだよ」とクルーの1人をステージに呼んだかと思うと、「彼にバレンタイン・キッスをしたい子は?」と客席から女の子を大募集。うわ、ジェイコブにも抱きつき放題! おまけにキーボードのラミが奏でるフレーズはザ・フーだ。もう大興奮のうちに客電がついて終了の場内アナウンスが入り、クルーがステージを片づけ始める。それでも拍手は鳴り止まず、再登場の大カバー大会は、ビートルズ、ザ・バンドと続いてようやくお開きになった。 カバーに頼らなくても、他にいくらでも自分達の曲があったのに、あくまでもバンドやファンと一緒に歌い騒ぐことに徹していたジェイコブ。その「いい奴」ぶりにすっかり惚れなおしてしまった。例えば"WITNESS"のような、渋いナンバーをじっくりと聴いてみたい思いも残ったが、ま、それは彼が親父さんぐらいの歳になってからでも遅くはあるまい。 - SET LIST-
1.SLEEPWALKER (ENCORE 1:)
14.SONG 2 (Blur) (ENCORE 2:)
17.DON'T LET ME DOWN (The Beatles)
Reported by 小谷育代. 無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to 小谷育代. They may not be reproduced in any form whatsoever. To The Top. |