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昨年のフジロックにも出演したプラシーボ。フロントマン、ブライアン・モルコの人気ぶりや映画「ベルベット・ゴールド・マイン」にT・レックスのカヴァーなど、これまでの彼らに対するイメージは、グラマラスでどこか妖しい―― といったものだった。生プラシーボ初体験のこの日、クアトロでも男女問わずアイメイクばっちりのファンが目につく。 定刻を10分ほど過ぎてメンバーが登場すると、フロアのファンがステージ前、それも左手にドッと押し寄せて、私のいた右手はスカスカ状態に。こっち側にもモヒカン風ベースのステファンがいるのに。肝心のブライアンはと言えば、そのファンの黒山に埋もれてしまいそうなぐらい小柄。黒のシャツを着て、髪をなでつけた彼は、まるでギターを始めたばかりのロック小僧。カリスマとか何とか言われてたのが、実はこんな可愛らしい奴だったのかとびっくりだ。右手に立つステファンの長身との差がいっそう際立つ。 オープニングは最新作「ブラック・マーケット・ミュージック」からBLACK EYED。続いてDAYS BEFORE YOU CAME と走るギターに乗って次々とたたみかけてくるその音は、大好きなキュアーやU2にも通じる。ああ、やっぱり私の琴線を刺激しまくる音にゾクゾク。生で聴くとさらにノイジー&パンキッシュで、フロアも揺れに揺れる。HAEMOGLOBIN、36 DEGREES と突っ走って、中盤 PASSIVE AGGRESIVEあたりでようやく落ち着いた。バックのサウンドのでかさに埋もれがちになっていた彼の歌声が、初めてじっくりと響いてくる。やはりイメージ以上に「うた」の力のある人だ。 合間に客席から飛び交う「ブライア〜ン」の声にも愛想よくイエス、イエスと答えていたブライアンだが、あまりにその声が多くて飽きたか、わざといやいや返事したり、ブレンダと呼んでくれなどと笑わせる。とりわけ耳に残ったのが彼の連発した「アリガト」だ。これが完璧に関西弁(最後の「ト」にアクセントがある)でおよそガイジンの言うアリガトだとは思えなかった。大好きな SPECIAL K ではフロアの揺れもさらに激化。SLAVE TO THE WAGE で最高に盛り上がったところで一旦終了。それでも時計を見ると、まだ40分ほどしかたっていない。 濃かったんだなあと納得しつつ始まったアンコールは、ステファンがピアノに向かい、ブライアンが煙草をくゆらせてのTEENAGE ANGST スロー・ヴァージョン。NARCOLEPTIC やPEEPING TOM など同様のナンバーでまとめた後、メンバーがステージから消え、やがてTASTE IN MEN のイントロの打ち込みフレーズが延々と鳴り始めた。メンバーの登場を待っていると、まるでこれからまたステージが始まるかのような錯覚に陥り、今まで以上にドキドキしてくる。闇の底から妖しく響くようなこの曲は、私が今日一番聴きたかった1曲だ。そして、ラスト PURE MORNING まで1時間半あまり。Join the masquerade―― と、歌う彼らだが、その仮面の下はグラムやサイケの香りを漂わせつつも、あくまでも突っ走るギターと歌の力で魅せる正統派ロックだった。決して妖しいイメージやアイドル人気に騙されることなかれ。 SET LIST
1.BLACK EYED
(encore 1)
(encore 2) Reported by 小谷育代. 無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to 小谷育代. They may not be reproduced in any form whatsoever. To The Top. |