松竹谷清(元トマトス)、ピアニカ前田、松永義隆(元トマトス、元ミュートビート)
& ROCKING TIME &DJ山名昇 at 下北沢CLUB QUE(2000年12月15)
 会社が潰れた。こんな世紀末に。チッと舌打ちするようなうらぶれた気分のまま会社を出た。首元を吹き抜ける北風にブルッとする。ポッケに両手つっこみながら猫背で歩くのが、今の私には似合ってるかもネ。

 行き着いたのは早い時間から酔いのまわった若者の笑い声や叫び声が響きわたる下北沢。私の今日の目当ては、レゲエバンドROCKING TIMEをメインにしたイベント「ROCK IT STEADY!」だ。もう4回を数えるこのイベントに私は初めて行くのだが、それには訳があった。今回のフロントアクトには元トマトスの松竹谷清さんが出るのだ。トマトスといえば、かつてじゃがたらやミュートビートと並ぶ伝説的なバンドで、清さんは現在北海道を拠点に活動しており、東京に住む者にはステージが見れる貴重な機会。しかも一緒に演奏するメムバーは、ピアニカ前田さんとベースの松永孝義(元トマトス、元ミュートビート)ときたら、こりゃ見ない手はないっしょ。

CLUB QUEの階段を降りてドアを開けば、むせ返るタバコの煙りと同じ気持ちで集まってきたアダルトな面々。今日のDJはトマトスの作詞も手がけたことのある山名昇氏で、ジャイブ風の選曲が清さんを待ち受けているみたい。続々と入ってくる客の中に、ダブマスターXや吾妻光良さんの顔が見られる。みんな清さんを見にきたんだなあとボーッとしてたら、3人が登場!ピアニカ前田さんは金髪で益々年齢不詳、清さんはイメージ通りのだぶだぶのチェックの吊りズボン、松永さんは灰色化しつつあるロンゲが雰囲気を醸し出している。演奏が始まると、胸に渦巻いていたもやもやしていたものが掃除機で吸い取られたようにパーッと消えていった。96年にソロ名義でリリースした「I'll remember April」やトマトス時代の名曲の数々に泪泪泪。前田さんのテクニカルな熱いソロ、松永さんの静寂な中に沸き上がるグルーブ、清さんのいつまでも若々しくたまにハズし気味なボーカルがたまらない。演奏中、清さんはこの会場内で一番楽しんでるんじゃないかと思う程ずっとニコニコ顔、こちらもつられて微笑み返し。スタンダードの「What a wonderful world」や「Rock your baby」、Fats Wallerの「I'm gonna sit down and write myself a letter」といったカバーは、清さんらしい詩をのせて全く自分のモノにしていた。そして一番グっときたのはトマトス時代の「スピナー」。まるで心の暖炉にポッと火がついたようだった。  お次のご登場は、メインのROCKING TIME。ロックステディ/スカの素晴らしさを表現してくれる数少ないバンドの一つだ。厚みのある音と今ノリにノッているという勢いを感じさせた。延び延びとして歌力を感じさせるヴォーカルとレゲエマナーにそった演奏は今までありそうでなかった、否、こんなバンド待ってましたと言わせる程の気持ち良さ。最新シングル「You are the only one」は、観客も大喜びで踊りまくるホット・チューンだ。最後に清さんと前田さんが再び登場、「Dancing mood」をみんなで大演奏。

 すべてのステージが終わり、「あー、楽しかった!」というセリフが素直に自分の口からポンと飛び出てきた。

Reported by 安藤ナツ.


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