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私が前回エリオット・スミスを見たのは、昨年1月。アルバム「XO」同様、アコースティックなライヴを期待して行ったところが、彼の友人のバンドを交えたエレクトリック・ヴァージョンで、すっかり面食らってしまった。以来ずっとこの次はぜひアコースティックで聴きたいと思い続けて来たが、ようやくその想いが実現した。ステージ中央にポツンと椅子が置かれ、その上に何やら人形が座っているだけのセット。フロアよりは1段高いカウンターにいたのに、開演前にはもうステージがよく見えないぐらいに人で埋まる。 定刻を20分ほど過ぎてエリオット登場。帽子を深く被り、髪も伸びて、その風貌は「さすらいのシンガー」といった趣きだ。オープニングは、『INDEPENDENCE DAY 』。前回はエレクトリック・ショックのせいか、ほとんど印象に残っていなかったが、透明感のある歌声と、アコースティック・ギターだけの響きはやはり美しい。曲間のチューニングの間、お客もシーンと静まり返っているので、「静かだね。この次は(こういう間がないように)ギターを2本持ってくるよ。」と、エリオット。「ついでにベースもドラムも、それから40人ぐらいのオーケストラもね」なんてコメントにドッと笑いが起きる。 もちろん最新作「フィギュア8」からも、『SON OF SAM 』、『I BETTER BE QUIET NOW 』、『LA』といったナンバーを聴かせてくれ、ステージが進むにつれ、ギターをかき鳴らす彼の姿もエネルギッシュなものになっていく。『SWEET ADELINE』のイントロには思わず歓声が上がり、私もやっと生アコギ・ヴァージョンが聴けた!と思うと、とてもうれしかった。それでも本編ラストの 『THE BIGGEST LIES』 など、この日は古い曲も多かったようだ。そんなわけで、かなりの曲数をこなしてくれたのに、実際は40分ほどで一旦終了。 アンコールではリクエストを募り、『JEALOUS GUY!』の声が上がると、「OK。でも、口笛のところのキーは僕には高すぎるから、皆でやってね」とエリオットからのお願い付きだ。日頃やっているカバーとは言え、何と言っても今日は12月8日である。ほんとならジョン・レノン・ミュージアムにいるべきところを、クアトロでエリオットと歌うジョンの曲。申し分ない追悼の一曲だ。でも、いざそのパートに来て、口笛吹いてみたら、あらほんと。彼の言ったとおり、キーが意外に高くてむずかしい。なかなか大合奏とはいかなくて、エリオットも思わず「ほら、頼むよ〜」。そして、さらに2度目のアンコールでは『MISS MISERY』もしっかりとやってくれた。終わってみると全体でようやく1時間ほどの短い時間だったが、少しも短く感じなかったのは、彼の持つ繊細な歌の密度ゆえだろうか。 アコースティック・ライヴほど、曲そのものの良さとギター1本の持つ力、そして歌う人の魅力が剥き出しになるスタイルは他にない。彼自身は、お客が静かなのを気にしていたようだけれど、それは皆とても集中して、あなたの世界に聞き惚れていたってことなんだよ。わかってくれたかな。
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