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ムーヴァーとブルートーンズ。2つのバンドが共演に至った詳しい経緯は知らないが、どちらもかつて「UK期待の超大型新人」と大騒ぎされた後、なおもしぶとく生き残ってきたバンドだ。特にムーヴァーと言えば、本国イギリスではそれほどでもないのに、日本ではめちゃくちゃ騒がれていた記憶がある。私はそれにかえって引いていたクチだが、今年出た「フライ・カジュアル」でようやく彼らのソウルフルな一面を再確認した。 かたやブルートーンズは、特に大ファンというわけではなかったが、"SLIGHT RETURN" を始め、いつもどこかキュンとなる歌があり、アルバムを出す度に好きになってきた。ライヴも初来日から皆勤だったが、先日のサマーソニックだけは、同じ頃に別のステージでのベン・フォールズ・ファイヴ(これも今となってはラスト・ライヴだ)とバッティングして涙を飲んだ。そんな2組が、東京での各単独公演と同じ値段で一度に見れる。そんなおいしい話、行くしかないだろう!というわけで、いつもならカウンターに居るところを、久しぶりに開演前からフロア最前列を陣取る。 7時ジャストにまずはムーヴァー登場。オープニングは新作同様、"CHARLY BROWN"。いきなりヴォーカルのサムの足元にあった缶ビールがひっくり返り、床がビール浸し。スタッフが飛んで出てあわてて床拭き。「もうカンパイができないね」とサム君も苦笑いだ。 "GOOD BUSINESS"を「ヨイ、シゴト」と覚えたての日本語で紹介したり、時折キーボードにも向かいつつ懸命に歌うところは、どこか若かりし頃のミック・ジャガーがちらほら。生で聴くと、ああ、やっぱり根っこは「黒っぽい」んだなあと肌で納得するようなタイトでしっかりした音が続く。"THAT'S IT" そして、これまたサムが「スタンド」と日本英語な曲紹介をした"STAND"で、40分ほどのセットが終了。 セットチェンジの後、8時頃「ロッキーのテーマ」に乗って、ブルートーンズ登場。何とみんなダーク・スーツにネクタイ姿だ。"SOLOMON BITES THE WORM" でもういきなりみんな跳ねる、跳ねるのスタート。会社を抜け出して何とかクアトロまで来たと言うのに、また似たような格好の5人を目にした時には、一瞬、ゲッと思ったが、そこはさすがにブリティッシュ・ジェントルマン。熱いライトの下で汗をかきながらも、さほど着崩れもせずがんばっている。3枚のアルバムからムラなく選曲しながらも、やはり"SLIGHT RETURN" と"BLUETONIC"の2連発にはメロメロ。何と言ってもブルトンにはこの2曲でやられた私なのだ。"AUTOPHILIA〜"のラストでは、アダムが床にバッタリ倒れてそのままスタッフに運ばれて退場。一瞬、本当にどうかしたかとアセッたぞ。 2部では、Tシャツやトレーナー等みなリラックスしたスタイルで登場し、ステージ前に勢ぞろい。アコーディオンやエレクトリックのバンジョー、アップライトのベースなど、これまでになかったスタイルで聞かせてくれたのがカントリー調の2曲、"KEEP THE HOME FIRES BURNING" と"SLACK JAW"。正直、今までは彼らのステージを見る度に「直球勝負の1時間半足らず」がどこか物足りなかった。好きなバンドながら、さほど後に残らないライヴだった。しかし、今夜の彼らは違う。豊かな音を獲得した証とでも言うのだろうか。音を楽しむ余裕みたいなものを確かに感じる。 シングルB面曲の"TEENAGE JESUS"なども交えつつ、"IF..."での大合唱から"EMILY'S PINE"でエンディング。さらに「最後の日だから特別だよ」と始まったアンコールは、黄色い歓声の女の子たちはまず知らないだろうなと思うような珍しいカバー。"PRETTY BALLERINA"は、67年のLEFT BANKE というグループの曲だ。60Sも勉強中なんだね。というわけで9時20分頃終了。あとは「こりゃ、シャーラタンズ?」ってなグルーヴのインスト・ナンバー、"BLOOD BUBBLE"も、ぜひ一度生で聴いてみたかったんけど、欲張りすぎかな。 ムーヴァーも、ブルートーンズも、もはや期待の新人ではなく、泣く子も黙るような大物でもない。その谷間にあって生き残っていくことの難しさ。それでなくても、もう使い果たされたかのような音楽スタイルの中で、2枚、3枚とアルバムを出して、自分らしく歌を創り続けていくのは至難の業だ。しかし、どちらのバンドも、この数年の間に各々が新たに獲得した音の世界が、確実に広がっているのだと教えてくれた。きっとありふれた音の中にこそ、自分達だけが紡ぎ出すことの出来る何かが眠っているのだ。その答えを求めて、これからも彼らは歌い続けるに違いない。 - SET LIST-
MOVER
BLUETONES
Part2:
Encore: Reported by 小谷育代. 無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to 小谷育代. They may not be reproduced in any form whatsoever. To The Top. |