eastern youth @ Shibuya Quattro (28th Oct '00)
 

 

 

 

Eastern Youth  

 

 

 

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*写真は99年10月のものを使用しています。悪しからず...
 まずは前座で登場した噂の54-71(ごじゅうよんのななじゅういち)。誰もが初めに奇異に思うのは、ドラムがステージ左端にいて、ステージ中央奥にベース。このベーシストは一度も観客に顔を見せることなく、背中を向けたまま演奏する。右にギター。そして前衛的な舞踏のようなパフォーマンスをする坊主頭のヴォーカリストの姿である。そして、ドラムはシンプルなセットで突き刺すようなスネアを叩き、ベースはぶっとい音を出し、ギターはクリアなトーンで反復するフレーズを奏でたと思いきや、突如轟音ギターを弾きまくる。そのバックを得て、ヴォーカリストは単語の断片(英語)を叫んだり、呟いたり。時折、中近東ぽいメロディを感じさせる。ダブの泥沼にハマった初期ポリスというか、『メタルボックス』時のPILのようだ。また観客の中からは「歌つきのモグワイみたい」という人もいたらしい。いろんなことを思い出させるこのバンドは不思議な音響空間を創りだす。MCもなく進行するステージに観客は沈黙して、演奏が終わるたびに一瞬遅れてから拍手が沸き起こるという状況である。まさに狐につつまれた、という感じだ。早くも来年のフィールド・オブ・ヘヴン(レッド・マーキーかな?)で観たいバンドである。

 そして、イースタンユース登場。いつものように吉野の長い挨拶のようなMCから「風の中」。当然ながら会場はいきなり大盛り上がり。モッシュ&ダイヴの嵐である。吉野の感情に直結したような激しいギターを支える、二宮のベースと田森のドラムは非常に分厚くて鉄壁である。轟音ギターでウオール・オブ・サウンドを創りだし、独自のファンクさえ感じられるリズム隊は観客を包み込むようでもあり、迫力で圧倒するようでもある。今回のライヴで彼らの演奏自体が快感をもたらすのだということがよくわかった。

 「最新ヒット曲(笑)」というMCで始まる「たとえばぼくが死んだら」や客のヤジに怒って「なんだ、てめぇ!名前なんて言うんだ!」と激高するも最後は笑いに持っていく吉野のユーモアは長年ステージに立つ者の余裕を感じさせる。それでいて、演奏が始まると頭から湯気まで出るくらい叫び、ギターをかきむしる切迫感は変わらない。

 「そうなんです。最新のとか難しいこと言っても、わからねえよ。もう、白旗揚げます。降参します。そんなことを歌った曲です」というMC(実際はもうちょっと長い)で「雨曝しなら濡れるがいいさ」。評論家がいろいろ誉めるのはいいけど、おれは音楽をやっていくだけだからさ、というのはとても誠実だと思う。もちろんシーンを背負ってやるぞ、という気概(野望とも言う)を持っているアーティストも素晴らしいけれども。吉野はギターの弦が切れても変わらぬテンションで突っ走る。

 本編ラストは「砂塵の彼方へ」。イントロの硬質なファンクからギターが疾走する展開はやはり格好いい。そしてサビの「それを識ろうが識らざろうが/目の前に広がる世界は砂塵の中/流れて消えて行くちぎれ雲/秋風身に滲むビル影の中」で場内は大合唱。秋風が身にしみる渋谷の真中で男臭い哀愁の光景が広がっていく。これはイースタンユースが長年かかって築き上げてきた観客との信頼関係なのだろう。

 大盛り上がりのアンコールは「青すぎる空」。考えてみると、イースタンユースには雲とか空とか雨とか風とかいうのが多いよな。ふと、空を見上げてしまう、喜怒哀楽をそこに投影しながらあれこれ思うというその心の余裕と切迫感のアンビバレンツが歌として表現されている。その吉野の素直さに我々は惹かれていくのだろう。

セットリスト(多分)

風ノ中
鉛の塊
浮き雲
足音
たとえばぼくが死んだら
静寂が燃える
未ダ未ダヨ
雨曝しなら濡れるがいいさ
何処吹く風
砂塵の彼方へ

(アンコール)
青すぎる空
report by nob and photos by hanasan
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