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8月のサマーソニックのステージで、あのふわふわしたおしゃれっぽい音とは対照的に「ロックンロール・スター」が始まった時、私は一人ニンマリしてしまった。オリジナルは60Sのグループ、バーズのヒット曲だが、パティ・スミスなどもカバーしていたお気に入りの1曲だったからだ。タヒチって、おしゃれな「なごみ系」に見えても、意外と根っこはロックかも。そう思った。 そして、この日のクアトロ。のんびり椅子にすわって、ちょっと酔っぱらったぐらいで、ふわふわして聴きたかったが、カウンターもフロアも見事に椅子なし。これから大モッシュでも始まるかのような人の多さだ。 7時きっかりに、まずはゲストのアイヴィー登場。実はタヒチをプロデュースしたアンディ・チェイスとファウンテンズ・オブ・ウェインのアダム、そしてヴォーカル、ドミニク嬢からなるユニットだ。見るのも聴くのも初めてだったが、これがまた心地よいポップで納得。 そして、休憩の後、いよいよタヒチ登場。オープニングは、MADE FIRST NEVER FOGET。サマソニの時にも思ったが、彼らの音は、ライヴだと数段引き締まって、歌の輪郭もくっきりする感じだ。I.S.A.A.C からYELLOW BUTTERFLY、そしてアルバムのタイトル・ナンバー、PUZZLEと曲をこなしていく。 突然、「キンクスって知ってる?」とグザヴィエ。キンクスのレイ・デイビスのことだよと始まったのがMR.DAVIES。 曲の間奏からサイケデリックなグルーヴを孕みつつ、延々展開していくパターンは、これまで他の曲にもチラついていたが、新曲だと言って披露してくれたインスト・ナンバーは、それが全開。もしかしておしゃれなポップよりもこっちが本業?と思うぐらい力が入っていた。 それでも、決してそちら側に行き過ぎないのがいいところ。日本語風に「ハートビート」(「ト」に力を入れて読む)と紹介してくれたHEARTBEATは、やっぱりこの日一番のみんなのお気に入りだろう。続いて、「ゾンビーズとバーズ、どっちがいい?」とまた質問が。知らないファンが大半のようで、答えはあまり返らないが、ゾンビーズがスタート。但し、「二人のシーズン」みたいな大ヒットではなく、TELL HER NO。聴いてみると、なるほど彼らに似合うチョイスだなあと納得だ。そして、「ロックンロール・スター」。これも「バーズって知ってる? 鳥じゃないよ、バンドだよ」いちいち説明してくれる。彼は、トッド・ラングレンとまではいかなくても、本当に60Sが好きで、しかもしっかりこなす「ポップ職人」な趣きがある。そして本編ラストは、REVOLUTION 80。これがまた打ち込みのテクノ・グルーヴ味も入った大インスト・ナンバーへと展開しながら、キーボードのワゥワゥというフレーズだけを残してエンディング。さらに2度のアンコールは、WHEN THE SUNで幕を閉じた。 「おしゃれで心地よいポップ」を装いながらも、タヒチ・ワールドは決して一筋縄ではいかない。果たして彼らはこの先どう転がっていくのだろう。雰囲気だけで飛びついたファンを蹴散らすぐらいのロックになるか、それともさらに60Sポップを極めるか。軽くなごむどころか、ますます目が離せなくなってしまった私である。 Reported by 小谷育代. 無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to 小谷育代. They may not be reproduced in any form whatsoever. To The Top. |