MUSE at 心斎橋クアトロ(2000年10月11日)
「UK期待の超大型新人!」なんてコピーと共に、デビュー作のリリースもそこそこに来日決定。チケットは速攻ソールド・アウト…なんてUK新人のパターンそのままに登場したミューズだが、実はサマー・ソニックまではよく知らなかった。それがあの夏の日、ハッとするほど鮮やかなブルーの髪をしたギタリストがステージに立ち、ドラマティックで哀愁のあるメロディを奏で始めた瞬間、これは絶対に夜、ちゃんとしたライヴ会場で見たいと思ったのだ。

 あれから2ヶ月。この日は急遽決まったクラブ・ギグである。客電が落ちると、当然とばかりに私もフロアに下り、かぶりつきをめざす。あの時は本当にまっさおだったマシューの髪。今夜は一見普通に見えたが、ライトが当たるとやっぱりブルーのメッシュが入っている。彼がキーボードと共に左手に立ち、後方にドラムのドミニク。右手にベースのクリス。本当に3人だけであの音を作っているのだ。

 SUNBURN、SOBER、UNO、そしてESCAPEとアルバム「SHOWBIZ」から続いていく。いわゆるノリ一辺倒のモッシュなリズムでは終わらない彼らの曲なのに、フロア中央のファ ンは熱狂的に跳ねる、跳ねる。マンサンが前作「SIX」で、とてつもなくドラマティックで、変則リズムパターンのサウンドに変身した時、とても面食らって、実際のライヴでもどう乗ればいいのか、ちょっととまどった記憶があるが、考えてみると、ミューズは最初から全編そんな感じだ。

 私は右手にいたが、その端にギターが何本もスタンバイしてあって、マシューが絶えず持ち替えている。ちょっとわけのわからないノイジーなフレーズから曲に入り、ドラマティックに展開していくというパターンもライヴだといっそう際立つ。ただ残念なのは、ハコの狭さが災いしたか、全体的にギターやバックの音が勝りすぎて、せっかくの歌が埋もれ気味になることだ。

 そうこうしているうちに、クリスが椅子に座り、ギターにチェンジ。私の一番好きなバラード、UNINTENDED が始まった。それまでのノイジーなサウンドも一切ない、シンプルなギターのアルペジオだけの中に響きわたるマシューの歌。ありふれたマイナー・コード進行の中から、こんなメロディを紡ぎ出せる彼の曲作りの才能は、やはり素晴らしいなと思う。

 そして、ノリのいいナンバー、FILLIPからMUSCLE MUSEUMへ。これはサマー・ソニックでも一番印象に残ったナンバーだったが、本当にアルバムで聴いても、ライヴで聴いても、とにかく耳に残る名曲だと改めて感心してしまった。日本人受けと言ってしまえばそれまでだが、彼らの曲の中でも特にキュンと来るものがある。そして、ラストSHOWBIZでは、何とギターのネックをバスドラムに突っ込み、皮を破ってぶっ壊すという過激な真似までしてくれたマシュー君。それまでの弾きまくり姿もそうだけど、ひょっとして彼はジミヘンがお好き?

 結局アンコールなしで、1時間10分ぐらいだったろうか。あっけなく客電がつき、セット・リストも取りそこね、個人的にちょっと寂しさが残ったけれど、彼らは「デビューで騒がれたきり、パッとしない」なんてUK新人その後のパターンには絶対にハマらないぞと確信したライヴだった。

Reported by 小谷育代.


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