King Crimson @ Shibuya Kokaido (5th Oct. '00)
渋谷公会堂。久々に椅子があるコンサート会場を見たような気がする。会場の年齢層はめちゃくちゃ高い。男が圧倒的に多く、スーツ姿も多い。キング・クリムゾンという60年代末からプログレッシヴロックというロックとジャズ、クラシック、民俗音楽、前衛音楽と融合した実験的なロックの代表的バンドで、バンド成立以来いろんなミュージシャンが出入りを繰り返している。テクニック重視、リズムに変拍子が多いので単純にノレない曲が多いのと、歌詞が難解なためファンは限られている・・・という前置きを書かないと知らない人も多いんじゃないかと思うのがちょっと寂しい。
今回、トニー・レヴィン、ビル・ブラッフォードという二枚看板を欠いての来日であったけど、会場は結局ほぼ満員状態に。メンバーが登場し、4人が円を作って片手を合わせる。まるで「三銃士」とかアメフトの円陣のようだ。そしてそれぞれが持ち場に戻ってまずは「VROOOM」。今回のキング・クリムゾンのライヴはドラムのパット・マステロット、スティック(ベースとギターを合わせたような楽器。多彩な音色が出る)のトレイ・ガンが大健闘。トニー・レヴィンやビル・ブラッフォードのような最高のテクニックを持っているわけではないが、そこは勢いでカバーしていた。ヴォーカルとギターのエイドリアン・ブリューはすっかり頭も禿げ上がったのでなんとなく哀愁を感じさせるが、声に深みが加わりヴォーカリストとしての力量も向上している。そして、御大ロバート・フリップ。例によって椅子に座り、照明に当たらず、どんなに激しいギターを引いても上体は全く動かずに、指だけが高速で動くという不気味なものであった。また、ギターシンセを多用していてギター以外にもピアノやストリングス系のシンセ音をギターで出していた。
基本的には新作『The Construkction Of Light』から中心に演奏されたがやはり盛り上がったのが昔の曲。頭がコチコチの一部のベテラン・クリムゾンファンの評判が悪い80年代のナンバーが素晴らしい出来で、その魅力に改めて気づかされたのである。それが顕著に出たのが「Frame By Frame」や「Thela Hun Ginjeet」「Elephant Talk」であった。「Thela Hun〜」「Elephant〜」はダンスミュージックとしてのキング・クリムゾンの可能性を示した。だけども、踊りたいのだが椅子席である。そのコチコチのクリムゾンファンは「客は歌うな」「手拍子するな」「踊るな」とうるさいらしい。音楽は楽しむものではなく、崇拝の対象らしい。
アンコールはまず、エイドリアン・ブリューが一人で出てきてアコースティックギターで「Three Of a Perfect Pair 」。この曲がこんなにいいメロディだったなんて今更ながら気が付く。それは80年代当時と比べてブリューの声が良くなっているということの証だろう。そしてアンコールの4曲目には「Red」!。70年代の名曲が2000年によみがえったという感じで感激した。ドラムがやはり少し足りないなあと思いつつもやってくれたことで満足。そして最後はデヴィッド・ボウイのカヴァー"HEROES"!。ヴォーカルはブリューがとるのだけど、ギターはあのオリジナルの音色が聴こえる。何故、今更"HEROES"という疑問もあるにはあるがフリップもブリューもボウイと関わったことがあるのでこの選曲もOKだ。
それにしてもこの素晴らしいライヴは椅子にくくりつけられるのではなく、もっと自由に楽しみたいというのが本音である。先も書いたけど「Thela Hun〜」「Elephant〜」は踊りたいし、ヘヴィなギターのリフではヘッドバンキングしたい。音楽を頭で捉えるのではなく、体で感じる人にもっと広く聴いて欲しいと思った。そうなるとフジロックとかに出て欲しいよな。「Red」はニルヴァナのカート・コバーンも好きだったらしいし、ヘヴィいなギターはレイジあたりのファンにもアピールするし、いくつかのダンスナンバーは人力テクノだし。クリムゾンを野外に解放したらまた新たな魅力を伝えることになると思う。是非検討して欲しいです。
|
|
|