LIAM O'MAONLAI & STEVE COONEY with NIAMH PARSONS at 大阪 BANANA HALL(2000年10月2日)
 私が「リアム」と言えば、それはオアシスのリアム・ギャラガーの話ではない。ホットハウス・フラワーズのフロントマン、リアム・オ・メンリィである。今回の来日同行組は、アイルランド音楽シーンにこの人ありと言われるほどの貫禄の超絶ギタリスト、スティーヴ・クーニー。そして、やはりアイルランドの肝っ玉母さんと呼びたくなってしまうような、これまた貫禄の歌姫、ニーヴ・パーソンズだ。

 定刻を少し過ぎて、まずはリアム一人がバウローン(タンバリンの皮だけみたいな打楽器)片手にステージに登場。熱っぽくリズムを刻みながらCATHAIN を披露。やがて、彼がピアノにまわり、スティーヴ・クーニーとのジョイントが始まる。ホットハウスのナンバー、GOOD FOR YOUだ。いつもドラマティックなリアムの歌は、バンド・ヴァージョンよりも数倍パワーアップ。そして、初めて見聞きするスティーヴのギターは、ごく普通のガット・ギターなのに、裸足でリズムを取りながらの迫力あるカッティングや、鮮やかに響くメロディラインが耳に残る。

 続いて登場したニーヴ・パーソンズも、目を閉じてアカペラを聴くだけでも、大海原を渡る風を感じるような、どこまでも響きわたる声の持ち主だ。いきなり歌詞を忘れたり、他の2人と「頭出しのコード、何?」なんて打ち合わせしてから歌へ。でも、始まってしまえば、そんなことどうでもよくなるぐらいの存在感である。

 そして、いつもとんでもないカバー曲がお楽しみのリアムのライヴ。今回は天空オーケストラの岡野氏を交えて、ボブ・マーリィのONE LOVEを熱演。おお、今夜はレゲエなのねと歌っていると、突然、スティーヴのギターのフレーズがどこかで聴いたことのあるメロディに。「これ、歌えるだろ?」と言われて合唱が起こる。何と「上を向いて歩こう」。いやいや、まさかそうつながるとは! でも、日本人なのに、ホットハウスの曲よりも一瞬歌詞が怪しくなった自分にちょっと苦笑い。

 大好きなホットハウスのナンバー、ONE TONGUE や PEOPLEはさすがに熱が入っていたが、後半一番の聞き物は、 テンポもアレンジも崩しまくり、それとはわからないほどになったAMAZING GRACEのカバー。ブルースっぽかったりラテンになったり、歌うリアムはひたすら天然で、それに負けずにギターで応酬のスティーヴはひたすらプロだ。リアムが笛(ディジリドゥだっけ?)を吹いて、ケルトのダンスミュージックをやった時も、もううずうずしていたが、ラストのアンコール、おなじみ DON'T GOでようやく立って踊りまくり! の締めとなった。

 リアムはホットハウス・フラワーズというロック・バンドのフロントマンでありながら、アイリッシュの伝統音楽に帰ったり、ホットハウスに戻ったりが、本当にごく自然に、自分の血肉として表現できる人だ。その天然の自由に共鳴して彼の周辺に集まるミュージシャンと、欠かさずにそれを見に来るファン。新譜だ何だと理由はいらない。ただ、この夜そのままの彼を確かめる日記のようなライヴ。本当の自由とは、決して大勢に向かって、声高々と歌うものばかりではないのだ。リアムの姿を見るたびに、そんな幸福感が満ちてくる。

Reported by 小谷育代.


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