Thee Michelle Gun Elephant @ Zepp Tokyo (29th Jun. '00)


 筆者の周りには何かにつけ「ロケンロー」という人たちがいる。電話に出ると「も しもし」の代わりに「ロケンロー」。帰りの挨拶も「ロケンロー」。そのうち「オウ !ロケンロー」(「オウ!おはよう」)「イエー!ロケンロー」(「イエー!おはよ う」)「ロケンロー?」(「調子はどうだい?」)「ロケンロー!」(「いいよ !」)「オーイエー!ロケンロー!」(「オーイエー!そりゃよかった」)いう会話 が交わされるのではと思う。

 超満員のZEPP TOKYO。場内が暗くなり「ゴッドファーザー・愛のテーマ」が鳴り 響く。大歓声に迎えられてミッシェルガン・エレファントの4人が登場する。そして 「プラズマ・ダイブ」の硬質なギターのリフから導かれて高速ロケンローが襲い掛 かってくる。ノンストップで「ヤング・ジャガー」、「ラプソディ」(多分)、「ソ ウル・ワープ」と畳み掛けてくる。

 だけども、皆さんがご存知のとおり、確か3曲目で水が入ったペットボトルがチバ に命中しチバはその場で一瞬うずくまる。演奏はそのまま続行されたし、全くテン ションが落ちなかったけれども、その後もタオルを投げられたアベが明らかに怒った 表情を見せるなど、不穏な空気が漂う。そんな空気を収めたのがチバの「ハッピーな 気持ちは分かるけど、物投げんなよ。結構こたえたぜ。物投げねえで、おまえらが飛ん で来い!」という言葉であった。あの98年のフジロックの「ロケンローの好きな気持 ちは分かる」という名MCを彷彿とさせる。

 それからは再びアルバム『カサノヴァ・スネイク』からの曲を中心にロケンロー攻 撃が続く。「アウト・ブルース」で何度も「ロケンロー」と叫ぶチバ。そしてドアーズ の「ブレイク・オン・スルー」を引用する。過去と現在をつなぐロケンロー。ミッシェ ルガン・エレファントはオーソドックスなロケンローを演奏するのだけど『チキン・ ゾンビーズ』『ギヤ・ブルース』でベタベタする日本的な叙情をぶった切る歌詞とギ ターリフ中心の音を手に入れた。例えば、ハイ・スタンダードを始めとするパンク系の 多くのバンドは日本語で歌うことを嫌って英語で歌うことによって日本的な叙情から 切り離されることで、ベタつかなくなるにはどうしたらよいのかという問題を解決す るのに対し、彼らは日本語で歌いつつ、その問題を正面突破するのである。そうして テクノに匹敵する音そのものの快楽をももたらす。彼らは昔ながらのロケンローの枠 組みを維持しながら、今、ここで鳴らすべき音になっている。

「単車に乗ってどっか行こうぜ」というMCから演奏された「GT400」は高速ロケン ローが多かったこの日の中にあって「ドロップ」と共に数少ないスローな曲である。 ここで歌われているのは、昔の西部劇映画のようなありふれた光景であって、それを 後退と捉える向きもあるが、去年彼らがアメリカの小さな会場をツアーして廻って獲 得したより大きなスケールの乾いた叙情なのかもしれない。

 本編ラストは「サンフランシスコ〜」というMCからおなじみの「CISCO」。そして 「リバルバー・ジャンキー」であった。アンコール一回目は「スモーキン・ビリー」 と「キャンディハウス」。二回目は「君に会いにゆこう」「ピストル・ディスコ」 「Baby, please go home」。ただでさえ多かったダイバーがこの辺になると非常 に多くなる。男も女も(ミニスカートでやっているのもいた。もちろんパ○ツ丸見えで ある。大歓迎だけど)ダイブをやっている姿は壮観だし、自分もやるときがあるけれ ども、柵に登ってジャンプする人なんかは落ちた先の人を不意打ちする危険があるの でやめたほうがいい。そのまま沈んでいく人も多かったし。逆に顔を蹴られたり、押 されるのがどうしてもいやな人は後ろで観るしかないだろう。自分の身は自分で守る というのが苗場に限らずどこでも同じ基本原則である。また、チバのMCにもかかわら ずペットボトルを投げる者はいたし、マナー面では問題の残るライヴであった。ロケ ンローは多くの人たちをつなぐ。ライヴでの大合唱やダイブなんかは一人で出来るも のじゃない。それを体感するために行くわけなのだから、その意味をもう一度考え直 した方がいいかもしれない。

 筆者は去年サンフランシスコとデンバーで彼らのライヴを観たのだけど、そのとき のクハラのMCで「We show you really rock’n roll」というのがあったが(考えてみるとアメリカ人が築地かどっかで「おれが本物の寿司を握ってやるぜ!」言っ ているようなもんだな。スゴイことだ)、「ロケンロー」は外国の人たちにも届く共 通する言葉なのである。今月末それをもう一度確かめることになるだろう。この日の ライヴは、会場の音響のせいか、見ていた場所が悪かったせいか、エンジニアが悪い のかベースの音がイマイチよく響いてなかった。クハラの硬質のドラムやアベの鋭い ギターに埋もれないようにするにはもっとベースラインがくっきりと聴こえた方がい いんじゃないかと思う。ぜひ苗場ではズシンと響いてくるベースを聴きながらグルー ヴに身を任せたい。では、皆さんまた会いましょう!ロケンロー!
report by nob
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