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6月25日、出張で投票に行けないぼくは、今日さっそく不在者
投票を済ませてきた。smashing magでこんな話をするのもどう
かな、と何度となくためらったけど、この場を借りて言わしても
らうことにする。それだけ今度の総選挙は、もしマイ・ブラディ・
ヴァレンタインの新譜やストーン・ローゼズの再結成があるとし
ても、それ以上に、冗談抜きでみんなに真剣に受け止めてほしい
から。 ぼくもたぶん同じ世代の人間と同じやと思うけど、二十歳になっ てから数年間の選挙は皆勤ではない。ただ関心は持ちつつも、ど うせ結果は一緒やから、という思いで行くのを渋ってたたちだ。 ただ今回だけは勝手が違う、ほんまに。確実にこの国の、ぼくら の10年後、20年後に影響してくるのだ。それはなにも、一国の 首相が「日本は神の国」と発言したから、というだけのことじゃ ない。戦時中、骨の随までそう教え込まれた子供時代を過ごした 人間にとって、イデオロギーや価値観を180度転換するのは易し いことじゃない。幼少期のトラウマが成人になっても深く影響を 及ぼすのを考えてほしい。ましてそれがなぜ間違っていたのかを 合理的に、納得いくまで説明もされずに、戦後、ただ臭いものに 蓋をしてきただけで済ましていては、こういう人間、時代錯誤と いうより嫌悪を催す思想をもつ人間が未だにいても、仕方のない ことのような気がする。そしてそれをしてきたのが、この国の教 育であり、社会であり、政治で、その55年のほとんどの間、政権 に居座っていたのが自民党なわけである。 そしてその政党を筆頭に、分派である小沢一郎の自由党、同じ 連立の公明、保守党あたりが、戦時中軍国イデオロギーの権化だ った『君が代、日の丸』を法制化したのを手始めに、近い将来、 「国連軍参加」という名目で、憲法九条の改悪に乗り出すのは目 に見えていることなのだ。個人をただ枠組みにはめるだけの義務 教育のなかで、唯一まともに感じた価値観を、守り抜こうともせ ずに、だ。たしかに日本という国が過去のように軍国化すること はまずありえない、という論法があるだろう。でも問題は、本来、 権力を規制し国民の主権を保証するはずの憲法が、権力の側から 書き換えられようとしていることなのだ。ぼくはそのことにゾッ とする。これこそファシズムだから。まさに『鉤十字の目をした 奴ら』のことなのだ。 もっとわかりやすい側面から話を進めようと思う。まず確実に 言えることは、自民党、自由党が政権を取ると、1年ないし2年の うちに消費税が10%になるだろう(福祉のためといいつつ、その 実は安全保障=つまり軍備、のためで、小沢一郎は古くからその ことを明言している)し、こうなると上限はあってないようなも ので、さらに小渕前政権の景気回復策、赤字国債(借金)で前倒 しにした資金で大型公共投資を乱発する路線、を継承するだろう。 潤うのはゼネコンや商社、大銀行のような利権企業だけ。資本主 義とは読んで字のごとし、元々金のあるところにしか金が行き渡 らないシステムである。借金は当然返さなくてはならない、が、 その財源はない。今でさえ、これっぽちもない。でも返さないと 国としてやっていけない。だからまたぼくらから搾取するし、連 中はそれで屁とも感じていない。今までもその繰り返しだったか ら、ほんまに怒りを覚える。今度こそは、マジで。 ドイツは先日、原発の全廃を決定した。デンマークのある女性 閣僚は、戦争権と軍備の永久的放棄を唱った日本の憲法九条につ いて「理想とは実現困難なものだが、理想がなければ一歩も前に 進めない」と喩えた。そこにあるのは将来を見据えた社会的コン センサスだと思う。この国に、とくにぼくらの世代に欠けている ものかもしれない。でもぼくらは音楽を通して、こうして意見を 交わしてるし、同じ場所に集う。そこにあの形容し難い連帯感が 生まれるとき、本当の喜びを感じたはずだ。だからぼくはあえて この場で言わしてもらったし、可能性を信じるし(政治バンドの 特集を組むだけ組んで、それをトレンドとしか捉えられない、自 己満足だけの某音楽誌と違って)、本当に真剣に考えてほしい。 今回だけは、本当に。 ちなみにぼくは共産党に投票した。いちばんわかりやすい主張 をしてる政党だと感じたから。まず消費税を3%に引き下げる、 と言っている。物事はそれほど単純に解決しない、というかもし れないが、単純なことですらしようとしない政党が、今まで多す ぎた。それに今の野党が連立政権を組むのに、いちばんキャステ ィングボードを握ってるのが共産党だから(まあ、それだけで選 んだんやないけど)。こういう公の場で自分は誰を、どの党を選 ぶか明言するのを差し控えるきらいがあるが、ぼくは個人的には、 それでは議論にも主張にもならないと思う。だからみんなも、で きるかぎり聞き耳を立てて、自分で選択してほしい。投票に行く、 行かない、そこから。マクドナルドを襲撃するよりは、アティテュ ードを持って一票を投じるほうがよっぽどクールやし、確実にな にかを変えると思うよ。 長々とごめん。 Reported by 児玉憲太郎. 無断転載を禁じます。The copyright of the text belongs to 児玉憲太郎. They may not be reproduced in any form whatsoever. To The Top. |