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仕事の後、会場に駆け込むと、師匠に敬意を表してかBGMにポール・ウェラーの新譜『ヒーリオセントリック』が繰り返し流れていた。本来なら去年12月のはずだったライヴの会場で、こんな風にポール・ウェラーを聴くと、どうしても思い出してしまう。前回の来日は、もともと『マーチング・オールレディ』がリリースされてすぐの97年10月、東京のみの予定だった。ちょうどポール・ウェラーの『ヘヴィー・ソウル』のツアーと重なったので、私はまず彼を大阪で見て、東京遠征でオーシャンを見る「UKモッズ・ウィーク」を計画、日程によってはお互いの飛び入りもありうるか?と大いに期待したが、翌98年3月に延期。そして今回の延期である。もうようやくこの日が来た感じだ。 7時を過ぎてメンバーがぞろぞろとステージに登場するなり、「今日はオスカーの25のバースデーなんだ」。曲を始める前からやんやの喝采で、HUNDRED MILE HIGH CITYでさっそくモッシュのスタート。続いて、いきなり来た来た、PROFIT IN PEACEの大合唱! そうなのだ。今度の来日では絶対にこれを一緒に歌うぞと心に決めていた。みんな4ヶ月も待ったのだ。思いきり拳を振り上げて叫ぶ。スロー・ダウンしてTHE CIRCLE、LINING IN YOUR POCKETと続くと、今度はまたI AM THE NEWSの抜群のノリ。彼らがまだUKモッズの代表バンドとしてブレイクする前の初来日から欠かさず見てきたが、今回は特にメリハリの効いた選曲が気持ちいい。 前回は、出世作『モーズリー・ショールズ』のインパクトがまだ強くて、そこからの曲の方がノリもよかったが、今はもう新旧どのアルバムの何の曲も、みんなのアンセムみたいなもんだ。この日どれだけ合唱が起きたことか。THE RIVERBOAT SONGでの、あのリフの変拍子リズムに皆が一斉に両手を掲げ、手拍子を合わせる図も壮観だった。そして、THE DAY WE CAUGHT THE TRAINでの文字通りの大合唱。汗だくの本編終了後、メンバーが再登場したかと思うと、期せずして客席からオスカーにHAPPY BIRTHDAY TO YOUの大合唱が。とっても幸せな気分になったところでサイモンがアコースティック・ギター1本でFOXY'S FOLK FACED を始め、GET AWAYへ…。終わってみれば1時間半余り。終始とてもいい雰囲気のステージだった。そして、お見送りBGMは再び『ヒーリオセントリック』という徹底ぶり。 アルバムはもちろん、実際にこの日のライヴでも、UKモッズの王道と、バラードやアコースティックのバランスが絶妙だったオーシャン・カラーと、『ヒーリオセントリック』で「アコースティックでも根っこは骨太!」と納得させてくれたポール・ウェラー。最近は、弟子が師匠を追いかけるというよりも、師弟がお互いに歩み寄っているような感じさえするが、自分たちの根っこの音楽に対する敬愛と、絶対に時代や流行に流されないもの。そこにはもう師匠も弟子もないのかもしれない。何度待たされてもオーシャン・カラーのライヴを見ようと思うのは、そして、その度によかったと思うのは、表に聞こえてくる音はもちろん、生真面目なまでにそこに向かおうとする心意気があってこそなのだ。本当にカッコいいと思う音。それはいつだってそんな確信に満ちている。 Reported by 小谷育代. |