Filter @ 渋谷クアトロ (10th Feb. '00)
比較的小規模のライブ会場の中は、驚くほど人がぎっしりだった。アルバムを聴く限り、それほどハードでもなく、どちらかといえば、まったりとした雰囲気のある音楽なので、タンクトップ姿でストレッチをしている男の子を見て、またまた大袈裟な、といったかんじで、輪から離れた所で静かに立って堪能する事にしようと思っていたが、その予想ははずれだったらしい。
メンバーがステージに現れるや否や、足の爪先からジリジリとギター音が頭のてっぺんまで伝わってくる。ステージ映えする。フィルターのライブまで、毎日何度も繰り返し聴いていたアルバムのあの音楽が、そして、リチャードの声もそのまま生で聞こえてくる。あぁ、戦闘態勢を整えてくるんだった。押せ押せの人込み、モッシュの渦の中に飛び込みたかった。まさか、そこまで飛び跳ねるほどのライブになるとは想像もしていなかったから。
出だしが「タイトル・オブ・レコード」の「サンド」からと同じだった為、ずっとそのアルバムメインかと思いきや、わからない曲がたくさんあった。やはり事前にファーストも聴いておくべきだった。しつこいくらい聴いていたアルバムの曲が、ライブでは違ったかんじに聞こえる。リチャードが醸し出す、独自の異様とまで思えるオーラのせいかもしれない。だが、メロディーラインが微妙に違っていた為、それが、盛り上がっていた自分の気持ちを沈下させてしまったようで、少しばかり残念ではあった。アルバム通りでない、ライブ特有の雰囲気を味わえて、それがライブの醍醐味であるとは思うのだが。一番好きな「ベスト・シングス」を聴いた時、やっとフィルターのライブに来たと実感できた。
リチャードの動きはとても奇妙だ。両手を広げてクネクネとタコダンス、首を前後に、にわとりダンス。目線はどこか遠くを見ている。彼だけ、違う世界にいってしまっているような、そんな雰囲気。ふと、リチャードの姿がステージ上から消える。柱が邪魔で何が起こっているのかわからない。やっと見つけた見つけた彼は、観客の上に乗っかって歌っている。海の上に浮かんで歌っている気分なんだろうか、心地良さそう。ステージに戻った彼の上着の袖は、伸び伸びになって、だらんと垂れている。しばらくそのままの状態で歌い続ける。なんだか可愛い。
物足りなさを感じつつ会場を後にしたが、それは自分がフィルターのアルバムをすべてマスターしていなかったせいである。始まる前クアトロの前に座り込み友達を待っていたら、一台の白いバンが目の前に止まった。中から、フィルターのメンバーが出てきた。あまりに間近で見過ぎたせいか、ただ口をぽかんと開けて見ているしか出来なかった。クアトロにはこんなメリットがあるんだ。素の彼らを見れただけ、それだけで今回は満足である。
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