buttonLive Aidからの20年ってなにだったのか?
ねぇ、みんな、どこに行ったの?


 ライヴ・エイドが開かれる1週間か2週間前、グラストンバリーでボブ・ゲルドフを捕まえて、コメントをもらったとき、彼がこんなことを口にしたものだ。

Bob Geldof 「俺がほしいのは金なんだ。今、この瞬間も人が死んでるんだよ。だから、可能な限り多くの金が今すぐに欲しい。ライヴエイドも、手っ取り早く金を集めるために一番だからやるんだよ。売れてもないミュージシャン出しても金になんないし、政治なんて考えている暇ねぇよ」

 と、そんな言葉が印象に残っている。結局は、アーティストをだまし、レコード会社をだましながら、アーティストの印税から、レコード会社の収入、レコード店の収入までを全て寄付させるという、とんでもない(でも、本当の意味での)チャリティ・プロジェクトとして実現させたのが『Do They Know Its Christmas?』というシングルだった。今年はその20周年としてスーダンでの飢餓を救うために新しいヴァージョンがU2のBONOを中心に作られているのだが、そのオリジナルがきっかけとなってロンドンのウェムブリー・スタジアム、そして、フィラデルフィアのJFKスタジアムで同時開催されたのが『Live Aid』と呼ばれる大規模なチャリティ・ライヴだった。

「この中継のなかで世界中の95%の人がこのライヴをテレビで見ているのよ!」

 と、アメリカ側のMCを助けていたベット・ミドラーだっけかが、ステージでそんなことを言っていたように思えるが、かなり大げさだとしても、確かに世界中がこれに注目したのは間違いない。なにせ、ほぼ全ての大物スターが勢揃いしてライヴをするわけだ。あまりにとんでもないスケールなので、名前を上げるだけでもかなりの量になる。というので、誰がで出ているかは、こちらでチェックしてもらいたいのだが、80年代のイギリスで政治と音楽の結びつきを核にして取材活動を続け、実際に、バンド・エイドの事務所も取材したこともあって早速このDVD(ただし、US import)を購入。今、それを横目で見ながら、これを書いているのだが、なんとも複雑な気分になる。

Bob Geldof  正直、どのアーティストがどんな演奏をしたのか、そんなことはそれほど重要でもなく、(もちろん、今振り返るとめちゃくちゃ面白いんだけど)なによりも衝撃だったのはこのDVD巻頭に収められているニュース映像であり、考えさせられるのは、最後に収録されているドキュメンタリーだった。飢餓で死に直面している人たちを救おうと、あの時、どれほど多くの人たちが動いたか.... 記憶では、日本ではライヴエイドも、結局は放送局と広告代理店と企業が金を儲けただけではなかったかと思うが、実は、文字通り、世界中の国で子供から大人までもがこの理不尽な状況に立ち向かっていたのだ。あのドキュメンタリーはそれを克明に伝えてくれるし、実際に、彼らの思いと行動が大きな役割を果たしたことも理解できる。

 でも、そのバンドエイドから20年、あの時のあの人たちはどこへ行ってしまったんだろうかと思う。もちろん、熱病のようなバンド・エイドのブームを否定するつもりは毛頭ない。それどころか、確かにあれば歴史を作ったし、その流れのなかから生まれた動きが南アフリカの獄中にいたネルソン・マンデーラを解放し、アパルトヘイトをなくしてしまうことにも貢献したのも確かだ。それでも、根本的な問題はなにも解決されてはいないのではないかという疑問がぬぐえないのだ。結局、今も貧困で食べるものもなく死を待つしかない人たちが限りなくいる一方で、「経済」のために食物が廃棄され、「政治」のために(本当はこれも「経済」なんだが)膨大な額の戦費が費やされる。それがどれほどの金額か知りたければ、こんなサイト、http://www.costofwar.com/を見るのもいい。アメリカがイラク戦争に費やしている金額は、我々の想像を遙かに超えるのだ。

 それは日本だって例外ではない。自衛隊がイラクに行くことでどれだけの金額が費やされているのか考えてみればいい。ミネラル・ウォーター2リットル入りのペットボトルが40円で購入できるサマーワで、いくらの予算をかけて彼らが水を作っているのか? それだったら、金や資材、そして、技術を渡せばいい。そして、イラク人のイラク人による雇用を増やして、彼らが自立し、人間としての尊厳ある生活ができる状況作りを助ければいい。政府は「人道支援」と「テロへの戦い」の一点張りだが、はたしてそうなのか? 例えば、ファルージャの現実からは「自由」も「民主主義」も伝えてはくれないどころか、アメリカ軍による虐殺と破壊しか見えてこないのだ。しかも、こういった米軍の「テロ撲滅」の後方支援として自衛隊がなにをしているのかを誰も伝えようともしない。要するに、「危険だから立ち入るな」と言うことを盾に、現地からマス・メディアに送られてくるのは、従軍記者、すなわち、軍に従っている一方的な、ある種の「宣伝(プロパガンダ)」だけなのだ。その一方で、ここでもわかるように、自衛隊は確実に「日本軍の兵士」としての印象をイラクの人たちの残しているのだ。

 すでに、ペンタゴンに追突したのは旅客機ではなかったという疑問がかなりの客観性を持ち、世界貿易センタービルに追突した2機目にも大きな疑問点が浮き上がっている。(詳しくは、こちらこちらをチェックしてくださいな)加えて、アメリカをテロ攻撃したとされるアルカイダと呼ばれる組織に関しても、イラク(旧フセイン政権)との接点を証明するものはなにも出てきてはいない。イラク攻撃の根拠とされた大量殺戮兵器を示す証拠も上がっていないのは、イラクを粉々に破壊しているアメリカさえもが認めているように、周知の事実となっている。

 そんな政治界の魑魅魍魎のあほらしさは当然のこととして、それでも、20年前と同じように、「今、この時点でも血を流し、飢えに苦しみ、住む家も破壊され、医療品も食料も届けられない人たちがいる」のに、なぜ、あの時動いた無数の市民が援助の手をさしのべないのか?しかも、この状況にイラクを強いたのは、明らかにあのLive Aidの中心となったイギリスであり、アメリカ。もちろん、それに手を貸している日本だって当事者だろう。

 それがわからないのか、あるいは、わかっていても動かないのか?新潟中越地震の被災者には優しい手をさしのべ、日本人の人質が出たからといって大騒ぎをする。でも、イラク人が血まみれになって虐殺され、スーダンで避難民が死に直面し、アフリカ中で毎日のように何百人がエイズで死んでいっているというのに、彼らはまるで人間ではないような無視を決め込むのはなぜなんだろう。そんなイライラばかりを感じてしまう今日この頃だ。

written by hanasan

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Live Aid

『Live Aid』
US import
国内盤初回分 / 国内盤通常盤


*US importは格安なんですが、リージョン1用で国内用のDVDプレイヤーでは再生できませんでした。ただし、日本語、スペイン語、フランス語、英語の字幕が付いています。国内盤初回分はかなり安くなっています。といっても、US importの2倍の値段ですけど。
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